やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その1:3ページ目
藤原俊成の和歌のはじまりに“天の戸の”とありますが、“天の戸”には“天の岩戸”という意味があります。“天の岩戸”と言えば、天照大御神の天岩戸の神隠れを連想しませんか?
天の岩戸は天上界にあり、天岩戸の神隠れの舞台はその天上界、天照大御神は天上界の主宰神です。
つまりこの絵に描かれている女性は『天照大御神』と見立てられないでしょうか。
太陽神である天照大御神が天の岩戸に閉じこもってしまった時、世界は真っ暗闇の世界になってしまい禍々しいことが起きました。しかし八百万の神々によって天照大御神が天の岩戸から引き出された時、また世界は神々しい光に溢れたのです。
女性の振袖には、冬の柄である“雪輪”の中には梅や撫子、菖蒲やもみじなど、四季おりおりの植物が描かれています。これは振袖の柄としては特別なものではありませんが、この柄を選んだことに意味があるのではないでしょうか。これらは全て太陽の光によって生命を育くみ、また他の命あるものを生かしています。
それでは広縁に座っている年若い武士は誰でしょう?