ゲスの極み!鬼畜の所業!平貞盛が自分の孫を殺そうとした理由がエゴすぎる【下編】:3ページ目
「どっちにしても死ぬんですから……」
……さて、素知らぬ顔で帰ってきた左衛門尉は「確かに馬上の医師を射殺し申した。護衛についていた判官代も、その内に戻りましょう」と貞盛に報告しました。
しかし、いつまで経っても帰って来ない判官代を不審に思った貞盛が家来たちに探させたところ、山中で胸を射抜かれて死んでいる判官代を発見。お気に入りの判官代を失って、貞盛は左衛門尉を責め立てます。
「そなたは何ゆえ判官代を射殺したか!」
しかし左衛門尉はいけしゃあしゃあと答えます。
「畏れながら父上、それがしは確かに馬上におった者を射殺し申した」
「たとえ馬上におろうと、医師と判官代の見分けくらいついたろうが!」
「いえいえ、誰そ彼(たそがれ。黄昏)時にございますれば……まさか判官代がお守りするべき先生の御馬を奪って乗るような無体をはたらこうとは夢にも思わず、万に一つそのような事があれば、お役目を軽んじた咎によって判官代は死罪とせねばなりませぬ……となれば、結局のところ判官代は死んでしまうのですから、同じことでしょう」
「……むむむ……」
完全に論破されてしまった貞盛はぐうの音も出ず、この件については沙汰止みとなったのでした。