ゲスの極み!鬼畜の所業!平貞盛が自分の孫を殺そうとした理由がエゴすぎる【下編】:2ページ目
小悪党の最期
「……やれやれ、何でそれがしがこんな役目を……まったく、草臥(くたび)れてかなわんわい」
貞盛から医師の警護を命ぜられた判官代は、徒歩で京の都を目指す道中、ずっとブツブツと文句ばかり垂れ流していました。
それを聞いた医師は内心でこれ幸いと申し出ます。
「ほんなら判官はん。わての馬ぁ貸したるさかい、代わりにお乗りなはれ」
「おぉ、気が利くなぁ」
お礼も言わず医師を押しのけるように馬にまたがると、意気揚々と先を目指します。
「オラオラ、さっさと行かねぇと日が暮れちまわぁ。急げ急げ」
馬に乗った途端に先を急ごうとする判官代にむかっ腹を立てながらも、左衛門尉との企みに内心ほくそ笑み、医師やその弟子たちはついて行きました。
そんな黄昏時、繁みの中から一筋の矢が放たれ、みごと判官代の胸を貫きました。
「ぎゃあっ!」
矢を射た下手人(左衛門尉)は闇の奥へと消えていき、医師や弟子たちは判官代を見捨てて逃げ出し、無事に京の都に帰り着くことができたそうです。