北条義時の妹、そして妻となる”二人の阿波局”の存在ー大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
令和4年(2022年)に放送が予定されている大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。
偉大なるカリスマ・源頼朝(みなもとの よりとも)公亡き後、鎌倉幕府における権力抗争を描く群像劇は、三谷幸喜の脚本や豪華なキャスト陣などにより、早くも話題となっているようです。
源義経に菅田将暉!2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第一次出演者が5日連続発表で出揃う
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」北条義時以外の構成メンバーは?その顔ぶれを紹介!
その一人に、主人公・北条義時(ほうじょう よしとき)の妹に阿波局(あわのつぼね)という女性がいます。彼女は頼朝公の異母弟である阿野全成(あの ぜんじょう)に嫁ぎ、鎌倉幕府や北条家を支える重要な役割を果たしました。
さて、阿波局と言うと実はもう一人おりまして、それがまた義時の妻だと言うからややこしいことこの上ありません。
紛らわしいから大河ドラマには登場させず、彼女の産んだ息子・北条泰時(やすとき)だけをしれっと登場させるのか、あるいは別の呼び方を設定するのか、こういうところに脚本家のセンスや工夫が表れて面白いですよね。
今回はこの北条義時の妹、そして妻となる二人の阿波局についてそれぞれ紹介したいと思います。
北条義時の妹・1人目の阿波局
生まれた年は不詳、阿野全成の妾(『吾妻鏡』による)となって嫡男・阿野時元(ときもと。生年不詳)を産みます。
正治元年(1199年)
頼朝公の死後、その遺徳を慕った≒遠回しに2代目将軍・源頼家(よりいえ)の暴政を批判した御家人・結城朝光(ゆうき ともみつ)に謀叛の疑いがかけられた際、逸早く情報を伝えて朝光を救いました。
建仁3年(1203年)
やがて北条家と頼家の争いが激化すると夫・阿野全成が誅殺され、阿波局も身柄を引き渡すよう要求してきますが、姉・北条政子(まさこ)らはこれを拒絶。頼家の後ろ盾となっていた比企能員(ひき よしかず)を滅ぼし、頼家を追放・暗殺します(諸説あり)。
その後は第3代将軍・源実朝(さねとも)に仕えてその乳母となり、父・北条時政(ときまさ)が牧の方(まきのかた。時政の継室)に誑かされて実朝を害そうとしていることを政子に伝え、その身柄を保護しました。
いらんこと言うな!大河ドラマ「鎌倉殿の13人」随一の悪女?宮沢りえ演じる「牧の方」のエピソード
建保7年(1219年)
実朝が公暁(くぎょう。頼家の遺児)に暗殺されると、それまで隠棲していた時元が第4代将軍の座を望んで挙兵したものの兵が集まらず、義時の命によって討ち取られてしまいます。
(※『吾妻鏡』では謀叛としていますが、逆に義時らが討手を差し向けたため、やむなく自衛の兵を挙げたとする説もあります)
この時、阿波局は我が子・時元の粛清について抗議も弁護もしていませんが、政子や義時らが朝廷から親王殿下を将軍に迎えるべく要請していたことを知っていたので、そもそも我が子が将軍になることを考えて(望んで)はいなかったのでしょう。
嘉禄3年(1227年)
時元を喪って以降はこれと言った活動も見られず、そのまま亡くなります。この時、甥の泰時が30日間の喪に服したことを最後に、歴史の表舞台から姿を消したのでした。