すごいぞ五重塔の建築技術!東京スカイツリーには古代に伝えられた五重塔の技術が利用されている:2ページ目
関東大震災の時も五重塔は無事だった
1925年に発生した関東大震災は、東京一陣に甚大な被害をもたらしました。それまで木造家屋が中心だった東京の住宅事情を一気に変えた一大事件でもあったわけですが、そのような中、上野寛永寺の五重塔だけは不思議なことに元の姿を保っていました。
その様子を見た当時の建築学者たちが、五重塔の構造を調査し、発見したことは、五重塔は、心柱を中心に各層が独立した構造となっていることで地震の揺れを低減することが可能だったということでした。
これを、現代の建築技法に生かしたのが「心柱制振(しんばしらせいしん)」という建築技法。実は、この技術は2012年に竣工のされた東京スカイツリーにも採用されています。美観、地震対策などさまざまな合理性を追求していると、日本の伝統建築五重塔をヒントにしようという結果にたどり着いたのです。
地上634mの世界一の高さを誇る電波塔、東京スカイツリー。この塔は、中央に設けられた心柱と外部の鉄骨の塔本体が分離されて作られています。そのため、地震が発生してもタワーと心柱がずれて振動することになり、本体と柱による揺れが相殺され、タワー全体の揺れが制限されることになるのです。