皇族の身分を離れてから再度皇族に復帰し天皇に即位した天皇は存在した:3ページ目
旧宮家の人々を皇籍復帰させることの問題は?
「そうか、皇籍復帰からの即位という前例があるなら、さっそく旧宮家の皆さんに皇籍復帰していただき、万世一系の男系男子の皇統を守ろう!」
女性・女系天皇反対派の人々がここまでの話を聞いたら、もろ手を挙げてこう言うことでしょう。
しかし、宇多天皇や醍醐天皇と現在皇籍復帰を取りざたされている旧宮家の人々には、決定的な違いがあります。
旧宮家の方々が臣籍に下されたのはもう70年以上前ですから、現在の「当主」たちは生まれた時から「民間人」であり、仕事をして生活もしています。
しかし宇多天皇は「光孝天皇の皇子」として生まれた後に一旦臣籍に下され、自身の不遇を嘆く3年間を経て皇籍に復帰しています。また醍醐天皇の皇籍復帰は父である宇多天皇の皇籍復帰と即位に伴ってのことで、満2歳の頃のことでした。
「旧宮家」のまさに当事者である東久邇盛彦氏は、文藝春秋2005年3月号のインタビューで
「学生の頃は、日本史を勉強していると東久邇という名前が出てくるのが嫌で、選択できるときは世界史をとっていました」
「一部の人が議論するだけで、そのまま決められてしまっていい問題ではないのではないでしょうか」
と答えています。
どのような結論が出るにせよ、現在の皇位継承は陽成院の退位~醍醐天皇の即位の時期と同じくらい、緊急性のある状況となっているのは間違いありませんね。