具足、甲冑、胴丸など…みんな「鎧-よろい」なんだけど、それぞれの違いって何?:4ページ目
胴丸(どうまる)
こちらも文字通り、胴体を丸ごと防護するから「胴丸」で、腹巻と混同されがちですが、よく見られる違いとしては、肩部分に杏葉(ぎょうよう。肩防具)がつき、腰回りに草摺(くさずり。大腿部の防具)がついて、防御力の向上と機動性の維持が図られていることが多いです。
加えて杏葉の上から大袖(おおそで。肩~上腕部の防具)が装着されることもあります(大袖がつくと、一気にランクアップした気分になれそうです)。
※例外もありますが、イメージ的にランク付けすると「腹当≦腹巻≦胴丸<<大鎧」となります。
大鎧(おおよろい)
武士を別名「弓馬(きゅうば、ゆんば)」と呼ぶ通り、武士を象徴する騎馬戦(主に馬上から矢を射る騎射)に特化した鎧で、そのルーツは大陸の騎馬民族などに遡ります。
弓手(ゆんで。左手)を伸ばして弓を構えた時に左腋の隙間を防護する「鳩尾(きゅうび)の板」と、矢を箙(えびら。矢を入れる大具足の一つ)から抜き、弓につがえて引き絞る邪魔にならないよう、柔軟に右腋を防護する「栴檀(せんだん)の板」を備え、腹部前面に滑らかな革などを張り、放たれた弓の弦(つる)が引っかからないようにした「弦走韋(つるばしりのかわ)」など、様々な工夫が特徴です。
鎧の中では最上級のものとされ、「正式の鎧」という意味で「式の鎧」「式正(しきしょう)の鎧」と呼ばれたり、また古来、着ると背筋が伸びることから「着背長(きせなが)」という美称も伝わっています。
まとめ
以上、一口に「鎧」と言っても様々なものがあり、戦場で生き延びるための創意工夫が随所に見られ、その機能美は世界的にも高い評価を得ています。
あまり日常でふれる機会も多くはありませんが、先人たちの知恵や美意識に、思いを馳せるきっかけとなりましたら幸いです。