350年もの間、天皇に「朝ご飯」を届け続けた京都の餅屋・川端道喜:3ページ目
お正月には宮中に餅飾りを届ける
また、餅屋なので当たり前といえば当たり前ですが、お正月には宮中に餅飾りを届けていました。
この餅飾りがまた凄い。
三方にまずユズリハを敷き、白鏡餅・赤鏡餅をのせた上に葩(はなびらといって、薄く延ばした円い餅)12枚、小豆汁で色づけした菱餅12枚の順に積みあげます。
その上に昆布2枚を両側に垂らし、細俵をのせ、更に背合せにした 串柿、砂金餅、串柿、海老らを水引でくくります。
三方の四隅には橙2個、柑子(こうじ)2個を置き、周りにカヤの実・搗栗(かちぐり)・野老(ところ=山芋の一種)・柑子・枯露柿(ころがき)を並べるという、豪華な物でした。
というか、三方にこんなに具材を載せられるものなのでしょうか?三方そのものが巨大なんでしょうね。庶民には想像できない代物です。
現在のお店の名物「水仙粽」は、吉野葛に上白糖を加えて練り上げ、笹の葉に包んで蒸したもの。笹の葉を解いて広げると、その香りがふわっと漂います。古来からの製造手法を変えずに丁寧に作られています。また、西では新年を言祝ぐ風物詩、花びら餅も人気です。
受け取り日時が完全指定の予約制で、一般には手に入れることは難しいかもしれません。しかし一度は銘菓中の銘菓を味わってみたいものですね。
参考文献:「京菓子」調理科学研究会(国立国会図書館より)