我ものを握る片手…(笑)下ネタも風景も盛り沢山、葛飾北斎は川柳も名人だった!:2ページ目
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一瞬の風景を愛おしむ
「田毎田毎 月に蓋する薄氷」
ここは信濃の姥捨山のふもと。小さな水田の一つ一つに月が宿る名所です。そんな月を閉じ込めるように、田には薄い氷が張っています。なんてロマンチック!
本当に北斎じいさんが書いたの?いつもの助平心はどこへ行ったの!?と訊きたくなるような句です。とはいえ、さすがは北斎。これほど繊細に風景を感受する心があったからこそ、自然が織りなす一瞬のロマンスを逃さず絵の中に閉じ込める事ができたのでしょう。月に蓋する薄氷のように。
ちなみに田毎の月に関しては、歌川広重が素晴らしい絵を描いています。
「八の字のふんばり強し 夏の富士」
なんとも健やかで爽快感のある一句です。とろけそうに暑い夏の日にも、赤い地肌をむき出しにし、八の字に足を広げて踏ん張る富士の強さ、めでたさよ。
手に取る人の心の憂さを吹き飛ばして笑顔にしてくれる、まるで浮世絵みたいな川柳。まさに、北斎にしか詠めない「北斎川柳」です。
おまけ 辞世の句
「ひと魂でゆく気散じや 夏の原」
枷になる邪魔な身体は置いていって、俺ア魂だけで気晴らしの夏休み旅行に出発するぜ!いやっほうい!と大盛り上がりで逝った北斎じいさんなのでした。享年90歳。
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