変態と呼ばないで!読めそうで読めない老舗の暖簾で見かける「変体仮名」とは?:2ページ目
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変体仮名とは
ひらがなの始まりは10世紀初頭。和歌や女流作家の台頭で、漢字を元にした読みやすく柔らかな仮名文字が生まれました。仮名の元になった漢字のことを「字母」と呼びます。
仮名は漢字を崩したものなので、例えば「あ(あん)」と発音する漢字の「阿」や「安」を元にした「あ」が存在しました(下記参照)。
要するに「あ」と発音する漢字全てから、作ろうと思えば仮名を作れたわけです。言い換えれば仮名の誕生までは、日本人は母国語の発音に似た漢字を当て字にして使用していたのだから当然ですね。
仮名は明治時代まで統一されることなく混沌としたまま続いていました。しかもややこしいことに、字母は同じですが崩し方が異なるものも存在しました。
統一された仮名
そして1900年(明治33年)、とうとう小学校令施行規則の改正で、「学校教育で用いるひらがなは1つの音につき1文字、全部で48文字に限る」というお触れが出されたのです。
標準の平仮名に対し、標準から除外された仮名は「変体仮名」と呼ばれることになったのです。
変体仮名は人名にも用いられていましたが、1948年(昭和23年)の戸籍法施行によって使えなくなり、新聞や雑誌など活版印刷による統一仮名の印刷物の普及により、変体仮名はみるみるうちに衰退。
老舗の蕎麦、天ぷら屋や書道など限られたところでしか見られなくなりました。
上の図は摂津名所図会「砂場いづみや」。
暖簾はすな場と書いてあります。「な」は奈を字母にした崩し字です。
混乱を生むとはいえ、味のある変体仮名。元はどんな漢字だったのかを推理しながら、街めぐりをするのも一興かもしれません。
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