絵師、彫師、摺師…職人たちのコラボアート!江戸時代の浮世絵の製作過程を工程順に紹介:3ページ目
絵師:色さし
色さしとは色指定の事。絵師は戻ってきた校合刷りを使って色指定します。たとえば1枚目は赤で摺る場所だけ塗ってマークし、2枚目は緑で摺る部分だけマークします。1色指定するのに1枚使うので、何枚も校合刷りが必要なのです。
どんな色を指定する場合でも、色さしは朱色で描きこみました。版下絵と同じく、自分でこだわって色指定する絵師もいれば、色彩センスの優れた後輩や弟子などを選んで任せる絵師もいました。また、このタイミングで細かい着物の柄などを描きこむ場合もありました。
彫り師:色版を摺る
絵師から彫り師の手元に色さしした校合摺りが戻ってくると、版下絵同様に1枚1枚版木に貼り、彫っていきました。版木は必ずしも1色にまるまる1枚という訳ではなく、例えば目尻の赤など、色がつく範囲があまりに小さい場合は木がもったいないので、他の色板の裏など空いているスペースを使って彫りました。
色版には、紙を正確な位置に置いて摺れるように「見当」というマークを彫りました。版木の端にL字型のかぎ見当と一の字の引き付け見当の2種類を彫り、そこに紙の端を揃える事で、多色でもブレずに摺る事ができました。
ちなみに、推測や判断、方向を間違えることを意味する「見当はずれ」の語源はここから来ています。