[お江戸小説] ココロサク 【2話】おりんの初恋、急発進!?:2ページ目
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そのときだった。
「カンカンカーン。」
火事だ!思わず店から飛び出ると、どこで発生したか一目瞭然だった。炎が長屋を容赦なく食い尽くしているのがわかる。
半鐘(※3)が鳴るということは、火事が起きたということ。半鐘が一打だと火事現場が遠く、2打だと大火、今のように連打だと、火元が近いという意味なのだ。
「どけどけぃ。」
ねじり鉢巻きをした町火消たちが、はしごや大きなうちわを持って、我こそはと現場に向かっている。
「くわえタバコをやったやつがいたらしい。」
「長屋がまるごとやられちまったらしいよ。」
野次馬のやりとりをぼんやりと聞きながら、胸騒ぎがするのはなぜだろうか。
くれない荘に戻ってくると、布団などの所帯道具を運び込んでいる大家さんとバッタリ。
「おりん、ちょうどよかった。さっきの火事で長屋が全焼しちまった人が、おりんの隣に引っ越してくるのだけど、厠(※4)や井戸など案内してくれるかい?ちょいと用があってね、よろしく頼んだよ。あ、この人が新しい住人ね。新さん。」
足早に立ち去る大家さんの向こうにいたのは、紛れもなく新八さん。ちょ、ちょっと待って?どういうこと?私の脳内は、パニック状態だ。
「新八です。先ほど、中村屋でお会いしたおりんさん、ですよね?これからお世話になります。」
私の名前知ってるの?今日からここで暮らす?さっきの人は奥さんじゃないの?聞きたいことがたくさん。憧れの人が、同じ長屋しかも隣に住むだなんて…これから毎日ドキドキしちまう。
さぁ、おりんの恋はどうなることやら。次回を、お楽しみに!(つづく)
※3 半鐘(はんしょう)……火の見櫓に吊るされた小さい釣鐘。火災や洪水、盗賊などの非常時に鳴らすようになった。
※4 厠(かわや)……便所
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