[動画で落語] これを聞かなきゃ年越せない!年の瀬に聞きたい名作落語3選
過去に夏や秋の落語を紹介してきましたが、いよいよ年末です。これを聞かずには日本の年が越せないという名作古典落語動画を集めました。ぜひこたつの中で温まりながらお聞きください。
以前紹介した、「肌寒いときに聴きたい古典落語3選」をまだご覧になっていない方は合わせてどうぞ。
[動画で落語] 笑って泣いて心がほっこり、肌寒いときに聴きたい古典落語3選
富久(とみきゅう)
年末も押し迫ってまいりましたが、皆さま宝くじはもう買いましたか?江戸時代にも、宝くじの前身ともいえる「富くじ」というものがあったんです。やり方は今と似たようなもので、富札屋で事前に「鶴の○○○○番」「松の○○○○番」など、組と番号が書かれた富札を買います。
現代みたいに新聞や自動判別機械などがありませんから、抽選発表当日に購入者は皆興行元のお寺に集まって、ワイワイガヤガヤ発表を聞くのです。現代と同じで、組違い賞や前後賞もちゃんとあったんですよ。
さてこの富久のあらすじです。ある年の瀬に、浅草のプータロー・久蔵がなけなしの金をはたいて富くじを一枚購入します。大切に神棚に飾って、後は抽選発表を待つだけだったのに、なんと住んでいた長屋が火事で全焼。あまりの事で富くじの事などすっかり忘れていた久蔵でしたが、ある日神社の前を通ると、富くじの抽選会の真っただ中。1等の番号を聞くと、なんと久蔵が購入し神棚に飾っておいたあの富くじの番号とぴったり同じで・・・!?
江戸の情緒がたっぷり薫る、人情ドタバタ劇です。
掛取り万歳(かけとりまんざい)
現在ではあまり聞きませんが、昔は「掛取り」というのがありました。後払い(掛け売り)でいろいろと購入して溜まりに溜まった1年間のツケを、年末にお店の人が家まで徴収に来るのです。
さあさあ、やって来たやって来た、今年も大勢の掛取りが夫婦の住む長屋にやって来ました。「でも払うお金なんざこれっぽっちもありゃしないよぅ、どうするアンタ」怖がる女房を制し、「俺に任しとけ」と強気の亭主。彼には何やら考えがあるようで・・・?
川柳、歌舞伎、浄瑠璃、義太夫、相撲などなど、演じる落語家が多様な芸に通じていなければ演じる事の出来ない、抱腹絶倒かつ拍手喝采の掛取り噺です。
芝浜(しばはま)
最後はとびっきり良い噺を。あるところに不真面目な魚屋がおりました。年末も押し詰まった今朝も、女房に尻をひっ叩かれるようにして早朝の芝の魚河岸に出かけます。ところが早すぎたのかまだ市場が開いていません。
ひまつぶしに芝の浜辺をぶらぶらしていると、足元に何か引っかかりました。拾い上げてみると、なんと財布ではありませんか。中身を確かめて二度びっくり。「こりゃあ、大金じゃねえか!」男は狂喜乱舞で自宅に帰り、いつもの仲間と大酒喰らって酔い潰れてしまいます。
さて、どのくらい寝こけていたか、目を覚ますと女房が「年越しの金もないのにこんなに飲み散らかしてどうするつもりだい」とお怒りの様子。「いやあお前、それがさ、大丈夫なんだよ。実はね、こんなもん拾って・・・アレッ!?」なんと、拾った財布がどこにも跡形もなくなってしまったのです。さあどうする、魚屋!
女房にするならこんな女が良いと評価も上々なこの「芝浜」の女房の良い女っぷりにも大注目。寒い冬にも心はほっこり、夫婦の絆を描く名作古典落語です。