自殺未遂で心を病んだ西郷隆盛が愛した流刑地の妻、愛加那 [前編]
西郷隆盛の妻は3人居りました。
幕末、明治維新の重要人物・西郷隆盛と3人の妻たちそれぞれのエピソード
幕末、明治維新において、重要人物の一人である西郷隆盛(さいごうたかもり)。上野公園の銅像も有名ですし、数年前には大河ドラマにもなりました。大河ドラマでも注目されたのが、彼とその3人の妻たち。そ…
最も有名なのは3人目の妻である糸子(イト)ですが、西郷が彼女と結ばれる前に潜居していた奄美大島に滞在していた間だけの妻がいた事はご存知でしょうか。
未だ謎の多い西郷の流刑地の妻、愛加那(あいかな)についてご紹介します。
西郷と愛加那の出会い
西郷は若かりし頃、多くの不幸に見舞われました。
将軍継嗣問題での敗北、敬愛する薩摩藩主・島津斉彬の突然死、安政の大獄、心を寄せた月照との自殺未遂。挙げ句の果てに、故郷から遠く離れた奄美大島に潜居する事になってしまったのです。
島に着いた西郷はひどく荒んでおり、奇声をあげたり木刀を振り回すなどの奇行を繰り返し、村の人から「大和からフリムン(狂人)が来た」と噂されたほどだったそう。そんな西郷を救ったのが愛加那でした。
愛加那は西郷の身の回りを世話するように遣わされた、島の名家の娘でした。大正時代に行われた愛加那を知る人物への取材によると、美人でしとやかでありながらも芯の強い男勝りな一面もあったとの事。そんなところが西郷に気に入られたのかもしれません。
愛加那に出会うまでは同じような縁談をいくつも破談にした西郷でしたが、自分の事を見捨てずに毎日ご飯を作ったり、洗濯もしてくれる彼女のけなげな姿に心を動かされたのでしょう。ついに彼女を島に滞在する間だけの妻、「島妻(あんご)」として迎えたのです。