歌舞伎のあの3色の幕の紀元や意味を紹介。実は選ばれし芝居小屋のシンボルだった
黒・柿色・萌葱色を使った三色の引き幕は、歌舞伎の象徴。おせんべいやお茶漬けなどのパッケージでもおなじみのデザインですよね。
この幕の正式な名前は「定式幕(じょうしきまく)」というものです。その起源は古く、寛永10(1633)年までさかのぼります。
江戸時代の芝居小屋・中村座の座元であった初代中村勘三郎が、幕府の御用船である安宅丸(あたけまる)の櫓を漕ぐ音頭を取り、立派な賞を受けました。その時に拝領した白黒の帆布の柄を、中村座の幕として舞台の引き幕に用いたことがはじまりと言われています。
引き幕は幕府公認の証
江戸時代は、どの芝居小屋にも引き幕があったわけではありません。引き幕は幕府から許可を得た芝居小屋のみが使用するのを許可されていた、大変に名誉なものでありました。
幕府から許可を得た芝居小屋は江戸にたった三つ。中村座・市村座・森田座のいわゆる「江戸三座」と呼ばれるものです。江戸三座の芝居が「大芝居」と呼ばれたのに対して、官許以外の格式の低い小屋の芝居は「小芝居」と呼ばれました。小芝居では引き幕ではなく垂れ幕を使用していたので「緞帳芝居」とも通称されていたようです。
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