上は見ないことにする? 丸の内の高層ビル「乗っけ」スタイル
東京駅の復原により観光客で賑わう丸の内。壮麗な東京駅の完成によって、丸の内のレトロな街並みの再現は、ほぼ完結を迎えました。しかしよくよく東京駅周辺を見回してみると、強引なレトロ復古により、不思議な建物が増えているような気がします。
10年ほど前から丸の内ビルディング(丸ビル)をはじめとして、丸の内の歴史ある建造物を保存しながらの、再開発が進められてきました。その結果増えてきたのが、大正から昭和初期に造られた「ビルヂング」を復原したものの上に、現代的な高層ビルを「乗っける」という「ビルディング・オン・ビルヂング」な建造物。「建物は残したい、けれども高層ビルも建てたい」という欲張り作戦でしょうが、「下半身・大正(昭和)」「上半身・平成」はトータルで見ると妙なバランスです。
↑丸ビル(丸の内ビルヂングを復元した低層階に高層ビル乗せ)
しかも丸ビル・新丸ビルだけでなく、東京駅をぐるりと囲むビルのほとんどがこの「乗っけ」スタイル。新丸ビルの隣にある「日本工業倶楽部」も、そして現在ほぼ完成している右隣りの「東京中央郵便局旧局舎」(JPタワーとして来春開業予定)も、レトロ建築の上に、最新デザインのビルが乗っかっています。
↑日本工業倶楽部
↑東京中央郵便局旧局舎(JPタワーとして来春開業予定)
主役の東京駅の上には何も乗っけていないので、どうしても周りにそびえる「乗っけ」ビルは気になります。レトロを楽しみたいという人には、この上に乗っかる高層ビルは「見ないことにして」ということなのでしょうか。
そういえば、来春新しくなる銀座の歌舞伎座も同じ「乗っけ」スタイルになるんですよね。歌舞伎座の趣はそのままに、ビルを上に「乗っける」らしいです。
一体この新旧合体のビルディング、100年後にはどんな風に見えるんでしょう。東京駅が誕生した大正時代にも、西洋と東洋を見事に融和させて「大正ロマン」を作った日本人です。意外と何の違和感もなく、融和しているかもしれませんね。