『豊臣兄弟!』光秀の心は“あの時”から壊れていた…呪縛を解かれた信長「ぜひもなし」は豊臣兄弟へのアンサー:5ページ目
「豊臣兄弟」に向けて言った「ぜひもなし」
燃え盛る本能寺。火の手に四方を囲まれた信長が切腹しようとしたその時、目の前に現れたのは、再び信勝の幻影でした。
「我らの一生、ろくなもんではござらんでしたな」と言われ、ふっと笑みを漏らす信長。
その脳裏に蘇ったのは、「殿!」「殿!」と真っすぐに自分を見つめる豊臣兄弟の姿と、
「わしが太陽になって、上様が作り上げたこの国を照らし続けまする」という秀吉(池松壮亮)の声でした。
ニヤリと笑って「ぜひもなし。」
あの有名な信長のセリフがここに登場しました。
「ぜひもなし」は、「仕方ない」という意味合いといわれています。
本能寺を襲ってきたのが光秀と聞き、「あやつに謀叛を起こされたなら、それも仕方なかろうと覚悟を決めて戦った」…と伝わります。
けれども、このドラマでは信勝の幻影に対して言った言葉。
「俺には、『豊臣兄弟』の二人がいる。俺の作った世は、あの二人が後を継いでくれる」という思いで言った言葉として登場しました。
前回、秀吉にいわれた「上様の国を照らし続けまする」に対する、アンサーでした。
「俺はここで死ぬ。仕方ない。お前たちに任せたぞ」という意味だったのでしょう。
……と、解釈したのですが、信長を演じた小栗旬さんも信勝に対し「そうは思わない。俺には未来を託せる人間がいるから、もう何の迷いもなくここで死ねる」という思いで演じたとか。
四方を炎に囲まれながらも、実は真っ暗闇の中に独りでいた信長。その手をひき、黄泉の国へと誘おうとした弟・信勝。
けれど、脳裏に蘇った豊臣兄弟の愛情が、「破壊しかしてこなかった血塗られた暗黒の人生」をまばゆく照らしてくれました。
少なくとも自分を認め付いてきてくれた兄弟がいた。ノブは独りで無力のまま最期を迎えたのではありませんでした。
新レジェンドになりそうな兄弟が軸の「本能寺」
小一郎と会話したときの「かなわない兄だけれど憎んではいない」の言葉が、信長をトラウマから解放しました。
罪悪感に苦しまされてきた弟の幻影に対し、ニヤリと笑い「俺は、弟のお前にはかなわない兄だ」を取り戻した信長。
一貫して登場のときから、人物像が崩れることなく貫き通した小栗信長と、今までとは異なり「兄弟」と「信長の心」を軸に描いた『本能寺の変』。新たなレジェンドが誕生しました。
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参考:
『兼見卿記』
『信長公記』
『乙夜之書物』関屋政春


