『豊臣兄弟!』光秀の心は“あの時”から壊れていた…呪縛を解かれた信長「ぜひもなし」は豊臣兄弟へのアンサー:3ページ目
「血塗られた手」の信長を救う「弟」の言葉
毒入り鯛を仕込んだのは信澄だったと判明し、信長は、ただちに追跡して腹を切らせるように命じます。
ドラマでは、仲良しだった弟・信勝(中沢元紀)を殺してしまった信長の葛藤が何度も強調されてきました。
20年以上、自分への復讐心を完璧に隠し続けてきた信勝の子・信澄の執念に、信長は躊躇なく人々を殺生し続けた自分の業の深さをつくづく思い知らせられたのではないでしょうか。
お市(宮﨑あおい)に「また信勝に恨まれる」「わしはどこかで道を誤ったのやもしれぬ」と本音を漏らしました。
夫・浅井長政(中島歩)の切腹の介錯をし、残された娘のために「前を向いて歩く」と覚悟を決めていたお市に弱音を吐くな、「娘たちが悲しむことがない安寧な世をお作りください」と頼まれますが。
「たやすく言うでない」と声を荒げ、「血塗られたこの手でそのような世をどう作れと。私には壊すことしかできぬ」と信長。
こんな悲痛な表情は初めてでしたね。
逆らった者だけではなく、無辜の人々の命も虐殺してきたことは「この世をひとつにするため」だったはずが。
自分は「間違っていたのかも」とふと自身に疑問を持った瞬間、両手が血塗られているように見え苦悩が始まったのでしょう。
この兄を苦悩地獄から引きずり出すには、人たらしでいつも「太陽のように照らしてくれる」豊臣兄弟しかいないと、小一郎(仲野太賀)を信長のもとに向かわせた市。
これも『兄妹』のお市にしか思い付かない作戦です。
小一郎と酒を酌み交わしつつ信長は「兄を憎んだことはあるか。兄を殺したいと思ったことはあるか」と問うたところ、
小一郎は「それはしょっちゅうでございます!」とあっさり答えました。
「兄は憎い、けれども恨んではいない。私には、到底敵わない兄を持った弟の気持ちが分かります」という小一郎の言葉に、信長は、長年抱えていた弟・信勝への罪悪感から、ゆるりと解き放たれたようでした。
この小一郎の言葉は、本能寺での信長の最期に生きていきます。
このドラマの根底には、どんなときでもどんな出来事でも、「兄弟」(兄妹)というテーマが流れています。
「絶望的な闇」を抱える「織田兄弟」もあれば、その闇を照らす太陽のような「豊臣兄弟」もいる。業でもあるし絆でもある「兄弟」関係の対比を感じさせられました。
