朝ドラ『風、薫る』「私たちは医師の部下ではない」ナース4が病院に突きつけた“看護婦の誇り”と改革の一歩:4ページ目
仕事と勉強の両立に苦しむ看病婦を助ける!
ところが、看病婦の「看護講習」には大きな問題点があったのです。
原案小説では、その問題が記されていました。
看病婦として働き、講習に参加、夜は寝ずに予習復習をする生活は徐々に疲弊していきます。真面目な看病婦ほど抜けていったそうですが、三浦ツヤのモデル・武藤ミネは講義を休みませんでした。
しかしながら、無理がたたり病棟の廊下で倒れ、点滴や洗浄に使用するイルリガートルを落としてしまいます。
通りがかった医師は「それは1本いくらだと思ってるのだ!」と。和は思わず「あなたはそれでお医者ですか!」と声をあげます。
時流に乗って「看護講習」を始めたのに、相変わらず医師たちの看病婦への差別意識はまったく変わらん……と呆れる場面でした。
原案小説の中に入って、「あんた医者だろう!倒れた病人より器具の値段の心配かよっ!」と胸元のネクタイをギリギリと喉仏まで締め上げたくなりました。
大関和は、外科の責任者・佐藤三吉(ドラマでは外科教授・今井益夫)に、看護教育の充実と看病婦の待遇改善を訴える建議書を提出。
さすが元後家老の娘。巻紙に長文の達筆で、
「謹んで書を医科大学第一医院外科監督佐藤教授閣下に呈す………病院の光栄 何を以てか之に加えん 妾悃誠の至に堪ず 頓首再拝」(『東京婦人矯風雑誌』第二九号)
と結んだ、立派な建議書だったそうです。
ところが、この行動が病院内で物議を醸し出し、大関和の看護人生は大きく変化していくのでした。
自分のためというより「誰かのため」に思いたったら突っ走る。
「誰かのため」に熱くなる。
実在のモデル、大関和を彷彿させる一ノ瀬りん。ドラマでは、そんな彼女を見て、「苦手だったなぁ。ああいう passionate teacher……」とつぶやき微苦笑を浮かべる、黒川の表情が印象的でした。
この先、黒川勝治(瀬尾原始)は、一ノ瀬りん(大関和)の看護人生を大きく動かす重要なキーパーソンとなっていきます。
最後に…
「出る杭は打たれる」のごとく「意見を言い行動する女はうるさがられる」時代に、恐れずに突っ走るりんたち「ナース4」。
約140年前。困難な中で道を切り開いてきた彼女たちから送られてくる、現代女性へのエールを受け取りつつ今後の展開を楽しみにしたいと思いました。
参考:
- 朝ドラ「風、薫る」原案『明治のナイチンゲール 大関和物語』田中ひかる
- 『日本における看護婦養成市場の観点からみた明治20年代の看護婦養成の意義』平尾真智子
- 『東京大学150年史編纂室通信 東京帝国大学における看護師の養成と女性たち』
