『豊臣兄弟!』直(白石聖)の孤独と別れの予感…“家族の輪”に入れなかった直は豊臣秀長の原点だった:5ページ目
豊臣秀長になるために必要な存在だった直
史実ではなくドラマのオリジナルキャラクターだった直。
けれども、ただ小一郎の存在に花を持たせるために若い女性を登場させたわけではありません。前述したように、村の百姓だった小一郎の胸の中に燃え上がった「侍への憧れ」を察し、背中を押し続けた直。
ずっと傍にいると決めたのに、小一郎はいつまで経っても「兄者!兄者!」で、そのままなので妻にも家族にもなれない。
藤吉郎と寧々の結婚は、直にとって喜ばしいことではある反面、我が身を鑑みて「この先の未来に、希望を見出せなくなってしまった」のかもしれません。
次回の予告では、病なのかふらつく姿や、旅支度をする姿が。そうは思いたくないのですが、小一郎は「自分が帰れる唯一の場所」のはずの直を失うのかも。
もしかしたら、直は、小一郎の恋愛相手という存在だけではなく、のちの「秀長」を作るために大きな役を果たしているのではないでしょうか。
もし失ってしまったら、直という女性は小一郎にとって
・守れなかった存在
・「わしの傍にいてくれ!」と伝えたくせに、その約束を果たせなかった存在
・妻に迎えるはずが、さんざん待たせるだけ待たせてただけで、できなかった存在
という、痛恨と後悔が生涯残る特別な存在になるのではないでしょう。
史実に伝わる豊臣秀長という人物は、温厚・腕利きの調整型・暴走しやすい秀吉のブレーキ役・人望が厚いと、すこぶる評判がよく、兄を支え続けた名補佐として有名です。
歴史に名を残すその人物像の陰には、若かりし頃、直のような「自分が帰れる唯一の場所」を失ったこと、自分を信じてついてきた女性を家族にできなかったことなど、約束を守れなかったことの痛み・後悔・痛恨などが、心にしっかりと刻まれたからではないでしょうか。
次回、直がどのような行動を起こすのか、小一郎との関係はどうなるのか、まったく不明ではありますが、直というオリジナルキャラクターを存在させたのは、のちの「秀長の原点」を作った存在として必要だったのでは……そんなふうに感じました。
最後に
予告を見てしまうと、小一郎と直がハッピーに結ばれるという予測がしづらいもの。(見事にその不安が裏切られるといいのですが)
6話のラストで、桶狭間の戦いから帰還した時のように、小一郎のそばに駆け寄って抱き付かず、“家族の喜びの輪”に入れなかった(あえて、入らなかった?)直をみていると、彼女の複雑な心境の変化を感じるとともに、「小一郎がここまで成長するためには、なくてはならない水先案内人のような存在」なのだなと、改めて思いました。(強さと落ち着つきを兼ね備えた雰囲気を持つ白石聖さん、はまり役ですね)
そんな流れを見ていると、出世とは“誰かを(もしかしたら一番大切な人を)置き去りにすること”なのかもなどと感じました。
直は、その“置き去りにされる側”の痛みを一身に引き受ける存在として、たとえ小一郎と結婚しなくても、“秀長の人生の物語”の中心に立ち続ける存在なのかもしれません。
これから切ない展開になりませんようにと祈りつつ、ドキドキの次回からの展開を見守りたいと思います。

