【豊臣兄弟!】藤吉郎と小一郎の強烈な光と影…“好かれたい” 野心の兄vs“正しくありたい” 理性の弟を考察:3ページ目
「兄の中に潜んでいる何者か」に恐怖を感じた弟
柴田勝家の屋敷で盗みがあり、疑いをかけられる藤吉郎。兄の潔白を証明するため、小一郎は持ち前の洞察力で「次に狙われるのは丹羽長秀(池田鉄平)の屋敷」と報告します。
真夜中、泥棒を捕まえるべく清須城の厠で張り込みをする兄弟。
「偉くなってどうしたいんだ」と聞く弟に、「家族に腹いっぱい飯を食わせたい。もっと偉くなったら村の連中にも。もっともっと偉くなったら……どうしたらええんかの。」と兄。
「皆を喜ばせたい。ありがとうよくやったといわれたい。皆から好かれたい。もう嫌われたりしとうない」
これは藤吉郎の本音なのでしょう。胸が痛む場面でした。小一郎は寝てましたが。もしかしたら、この兄の本音に、答えあぐねて寝たふりをしたのかも……とも思ってしまいました。
「嫌われたのは兄者のせい!」という怒りと、8年間その汚名返上のため“出世すること”だけを考え、百姓とばかにされても見下されても、ただひたすら孤独に戦ってきた兄への同情との葛藤で。
盗賊であり間者だった者の正体は、藤吉郎に優しく握り飯を分けてくれていた織田家の台所方、横川甚内(勝村政信)でした。
小一郎は、灯を持たずに夜廻りをする横川を疑い問い詰め斬られそうになりますが、藤吉郎が割って入り、何の躊躇もせずばっさりと斬り捨てます。
血まみれの顔で振り返り、無表情のまま静かに「だいじないか」と。いかにもお調子者の陽キャから豹変した表情の怖さは、さすが池松さん。
恩人でも迷いなく斬り捨てる冷酷さや、犯人を斬り捨て手柄をあげたい強い野心。小一郎が「兄の中にいる何者か」にはじめて恐怖を覚えた場面ではないでしょうか。
手の震えが止まらなかったのは、「わしがおそろしかったのは、兄者じゃ」だったから。
輝くように明るく見えた藤吉郎の本質と抱える闇の深さに、恐れを抱いた小一郎のセリフが、今後の展開を予言しているようでした。
最後に……
“光”の中で、調子よく出世を目指していく藤吉郎の笑顔の裏に潜む、劣等感や好かれたいという承認要求。見返してやる、上へ上へ登っていくという強い野心。
反面、小一郎は、“影”の中で、感情を律し理性を保ち、周囲を観察し、争いを采配する能力や洞察力を発揮していく。
兄が「光」を増せば増すほど、弟の「影」は濃さを増していく。このコントラストの強さを打ち出した初回の「二匹の猿」。
「大河の初回は、最終回の大きな布石に」とよくいわれます。今後がどうなっていくのか展開が楽しみですね。


