「べらぼう」オタクぶり全開!松平定信の“蔦屋耕書堂は神々の集う神殿”に泣き笑い【後編】:2ページ目
「いちど きて みたかった のだ」
そんなある日、国元に戻る前に耕書堂を訪れた定信。のれんをくぐり店内に入った瞬間に目が輝きためいきをつき笑みがこぼれます。(後ろにいた蔦重には見えていない)
書籍などの印刷物が大好きな人が、品揃え豊かな書店の中に足を踏み入れた瞬間、「こういう表情になるよな!」な典型的な顔をしていましたね。本当に嬉しそうでした。
「今日はいかなる御用向きで?」と感じ悪く尋ねる蔦重に「国元に帰る」と言いつつも、定信は、店内を見渡し、写楽の絵を眺め、店頭に並んだ黄表紙を手に取り夢中で次々に手に取っていきます。
政には戻らず国元に帰る理由として「外道とはいえども上様の父君をはめた罰を受けるべきだと思ってな」という定信に、へえ〜という表情で「そういうところは筋を通されるんですね」と嫌味を重ねる蔦重。
そんな態度には慣れたのか「そういうところもだ!」と返し、一橋治済と入れ替わった斎藤十郎兵衛に時折、絵や本を差し入れて欲しいと依頼します。そして、今回の報復劇に上様を巻き込んだ蔦重のアイデアを「秀逸だった。ほめてつかわす」と言いました。
一瞬嬉しそうな表情を浮かべた蔦重ですが、すぐに「それをおっしゃるためにお立ち寄りに?」と怪訝そうに尋ねます。ちょっと目を泳がせて蔦重から顔をそらした定信、こんな表情は初めて見ましたね。
そしてちょっと躊躇しながらツンデレな態度で思い切って話すところは、まるで好きな人に告白するときの女子のドキドキ感、そのままでした。
「イキチキドコキキテケミキタカカカッタカノコダカ」
いわゆる「キ抜き言葉」で、最初は「あぁ?」な蔦重も、もう一度早口で言われわかったのでしょう。
「いちど きて みたかった のだ」という言葉に驚いた顔をみせます。
