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「べらぼう」オタクぶり全開!松平定信の“蔦屋耕書堂は神々の集う神殿”に泣き笑い【後編】

「べらぼう」オタクぶり全開!松平定信の“蔦屋耕書堂は神々の集う神殿”に泣き笑い【後編】:3ページ目

この言葉をストレートに言えばいいのに、照れ臭くて言えずにわざわざ噛みそうな「キ抜き言葉」でいう定信。今までの感じの悪い越中守の片鱗はどこにもありません。

ただ純粋に黄表紙やら浮世絵やらの江戸カルチャーが大好きで、来てみたかった憧れの書店に入り、興奮を抑えつつも目の輝きと口元の笑みは隠しきれない純なオタク青年になっていました。

「いちど きて みたかった のだ」と言い切り、「え?」と驚く蔦重の表情を見て「よしゃ!言ったぞ」とちょっと鼻を膨らませてやり切った感がでているのがかわいかったですね。ここで、松平定信の好感度は爆上がりしたようです。

一度告白したらもう怖いものはありません。怒涛のように恋川春町岡山天音)愛や黄表紙愛を語り始めました。

「黄表紙はもれなく読んでおる」

「春町は我が神。蔦屋耕書堂は神々の集うやしろであった」

すごい語彙力。クリエーターなら、ファンにこんなに熱く語られてみたいと思います。苦労してさまざまな作品をこの店から世に出してきた蔦重もプロデューサー、書店主冥利に尽きる言葉と感じたのではないでしょうか。

「あのこと(春町の自死)は余の祭り事の中で唯一の不覚だった。」
「上がったタコを許し、笑うことができればすべてがちがった」と後悔の気持ちを語る定信。

その真摯な定信の言葉で、蔦重のなかに凍っていたものが氷解したのかもしれません。

「“写楽プロジェクト”は春町の供養のつもりでした。春町をそそのかし、でっけえ凧をあげさせたのは自分です」という蔦重。

しばし無言で店内に貼ってある本名の「恋川春町」の名前を見つめる二人。「ご一緒できてようございました。」と頭を下げる蔦重に、ぐっと口元を噛み締めた定信。

照れくさいのか、急に話を変え「では、今後は随時よき品物をみつくろって白川に送るように」と、通販を希望。え?という蔦重に「抜け目ない商人に千両も取られたゆえ、倹約せねばならぬ」と。

先日の「なにせ暇なもんで。どなた様かのおかげで店を休むことになりまして」の蔦重の嫌味への仕返しでしょう。相変わらず、負けず嫌いなところはそのまま。

やれやれ食えねぇお人だというような呆れ顔の蔦重でしたが、夢中になって、あれもこれもと黄表紙をたくさん手に抱える定信に苦笑しているのも面白かったです。

定信はさっそくカゴの中でホクホク顔で黄表紙を開いてましたね。九郎助稲荷にもナレーションで「硬軟併せ持つオタク」と言われてました。

今までも憎たらしい反面、「黄表紙大好き」で憎めない一面をたまに見せてくれていましたが、蔦重とのやりとりでみせてくれた定信。井上祐貴さんが見事にハマり役だったと思います。

立場を超えて蔦重と定信が「なんか面白ぇ本を作りましょう」とああでもないこうでもないと「案思(あんじ)=創作の元になるアイデア」の意見をかわして盛り上がっているところをみてみたいなと思いました。

自分では最高の案思だと思って夢中になって語るも蔦重にダメ出しされて、カチッとくるきれる定信とか「べらぼう:もしも◯◯◯だったらシリーズ」スピンオフでやってくれないかなと願いつつ、来週はいよいよ最終回ですね。

予告編では蔦重の旅立ちというのになにやら「屁!」が全面にでてきているのですが、どのような最後になるのやら。さみしいですが、最終回が楽しみですね。

 

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