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「べらぼう」“覚醒の上様”を巻き込む蔦重最大の大戯け!そしてオタク全開の定信との別れを考察【前編】

「べらぼう」“覚醒の上様”を巻き込む蔦重最大の大戯け!そしてオタク全開の定信との別れを考察【前編】:3ページ目

上様を仇討ちに巻き込んでしまえ!という最大の戯け

治済に毒饅頭を食べさせる方法を問われた蔦重は、ニヤリと笑みを浮かべ
「お一人だけおられましょう。だれにいくつ毒饅頭を食わせても許されるお方が。」と。

まさか、上様のことか?と察した定信は、「さようなことができるわけなかろう!」と返します。

「けど、こりゃあ上様の分にございます。太平の世を見出す輩がいるなら毒饅頭を食わせるのは上様の役目。

こりゃ分だ。わたしらには分だ分だといいながら、天下を収める公方さまがおのれの分には知らん顔なのは通りが通らない」

この蔦重の言葉には痺れました。「庶民にあれこれ押し付け厳しくしながら、“政を司るもの”が自分はOK!とばかりに知らんぷり」では、筋が通らない。いつもながら、現代にも当てはまるセリフでした。

心を決めた定信は、10代将軍家治(眞島秀和)の弟で御三卿・清水家の当主清水重好(落合モトキ)の元に足を運び、治済仇討ちの手助けを頼みます。

「ちょうど、兄と甥に冥土の土産が欲しいと思っていた」「ずっと仇を打てなかったのが不甲斐ないと思っていた」という重好。

今は亡き徳川家治の最後の様子を、今の上様に思い出させて欲しいという定信の頼みを聞いて徳川家斉(城桧吏)に会い、「最近、亡き家治様が枕元に立つ」という話をします。

ところが治済が割り込み、何しに来たとばかり圧をかけるので、つい「今後の当家の家督のことで上様に相談したらいいと越中が…」と定信の名前を出してしまいました。

そんな気弱で大丈夫か!?と思いましたが、一見、頼りなく見えたこの重好が、実は「一番怖い人」でした。兄と甥を殺された恨みを消すことなく、心の中で静かにけれども激しく燃やしていたのでしょう。

4ページ目 「余はいかにすべきだろうか」覚醒した家斉

 

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