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朝ドラ「ばけばけ」ヘブン先生の“想い人”は史実ベース——イライザの実在モデルの壮大すぎる生涯!

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小泉八雲との縁と文筆家としての晩年

エリザベスのその後は、どうなったのでしょうか。

ニューヨーク時代、彼女は作家・批評家としての地位を構築。やがて、弁護士で実業家のチャールズ・B・ウェットモアと結婚します。

彼女は『コスモポリタン』の編集に関わり、のちには Atlantic Monthly や North American Review にも論考を寄せています。そこでは、女性の地位、社会問題、文学作品などをテーマに、落ち着いたが切れ味のある文章を発表しました。

日本の読者にとって、エリザベスの名前が最も身近になるのは、やはり小泉八雲〔ラフカディオ・ハーン〕との関係でしょう。

エリザベスは、日本に移住したハーンと手紙のやり取りを続けていました。

しかし1904(明治37)年、ハーンは日本で病没。以降、エリザベスは3度に渡り来日して小泉家を支えています。

1906(明治39)年、彼女は二巻本の『ラフカディオ・ハーンの生涯(The Life and Letters of Lafcadio Hearn)』を刊行。ハーン業績をまとめたものでした。

この本は、ハーンの書簡や周囲の証言を丹念に整理しながら、その生涯をたどった大部の作品で、日本研究・ハーン研究の分野にとって今なお重要な一次資料的価値を持っています。

エリザベス自身が作家であり、またハーンと同じ「移民的な経験」をどこか共有していたこともあってでしょうか、彼女の筆致は単なる年譜の羅列ではなく、ハーンの内面に慎重に耳を澄ませようとする姿勢に貫かれています。そこには、「作家が作家を描く」という特有の緊張感が漂っています。

エリザベスは世界一周記やハーン伝記以外にも、随筆や思想的な色彩の強い著作を執筆。これらの作品では、人間の内面や信仰、社会の変化に対する考察が、比較的穏やかながらも知的な文体でつづられています。

派手な政治的主張を叫ぶタイプではなく、むしろ「静かに観察し、言葉を選んで語る」書き手だったことがうかがえます。

1929(昭和4)年1月6日、エリザベスはバージニア州シャーロッツビル近郊で肺炎のために亡くなりました。

遺体はニューヨーク・ブロンクスのウッドローン墓地に葬られました。奇しくもそこには、レースのライバルであるネリー・ブライも葬られています。

エリザベスは、単なる「ブライの影のライバル」ではなく、南部に生まれ、戦後の混乱をくぐり抜け、筆一本で生きる道を切り開き、世界を見つめ、小泉八雲の伝記という大仕事をやり遂げた、一人の独立した書き手でした。

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