『べらぼう』裏切り連発のどん底回…大切な期待や夢を失った蔦重・歌麿・定信の心情を考察【前編】:5ページ目
「三つ目」の歌麿だからこそわかる“恋心”
ビジネスは決別を決めた歌麿ですが、蔦重への秘めた想いを急に断ち切ることはできません。
叶わぬ想いを胸に秘めているため、いろいろな女性の「想い」に目がいくように。自分がモデルとして描いてきた、主役級のモテモテのアイドル看板娘でもなく華やかな花魁でもなく、いわゆるモブキャラの普通の女性の変化する表情に注目するようになります。
この観察眼や着眼力は、さすがは当代一の天才絵師。「男とか女とか関係ない。好きな人かそれ以外」という歌麿らしい。男目線で、「女性」を観察していたら、美人かどうか、色気があるかどうか、垢抜けているかどうかなど、「外見」だけを見てしまっていたでしょう。
もともと庭に咲く花や虫など生ものをじっくり観察し繊細に描くことを得意とする歌麿。生きている女性の表面的な要素ではなく、 “胸に秘めた恋する表情”を敏感に感じとるところはさすがですね。
鳥山石燕先生(片岡鶴太郎)が、初めて幼少期の歌麿にあったとき「三つ目」と呼んでいましたね。歌麿は眉間にある「三つ目」でほかの人には見えないものを察知できるのでしょう。
歌麿の秘めた想いに気が付かない蔦重は、予期せぬ裏切りが続いてどん底に突き落とされることに……
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『べらぼう』恋心を秘めた歌麿と決別、初めての子との別れ…どん底に落とされた蔦重の悲劇【後編】
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