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大河『べらぼう』の浮世絵に撮影協力している「アダチ版画研究所」とは?浮世絵のあれこれも聞いてみた

大河『べらぼう』の浮世絵に撮影協力している「アダチ版画研究所」とは?浮世絵のあれこれも聞いてみた

いよいよ「べらぼう」も終盤ですね。なんだか重三郎が空回りしてきた感が否めませんが、ここから畳みかけるように様々なことが動き出すでしょう。

さて、べらぼうに出てくる数々の浮世絵。そこに撮影協力している工房をご存じですか?それは「アダチ版画研究所」。彫り・刷りを担っている日本で唯一の「浮世絵工房」で、江戸時代からの手法を守って一色ずつ版を彫っているのはここだけです。

JR目白駅から徒歩10分の住宅地の一画にあり、浮世絵というと想像しがちな長屋のような風情ではなく(当たり前)、モダンな建物。もちろん職人さんはここで働いています。

こちらで行われた見学会の様子を、ご紹介します。見学会はギャラリー内で行われ、予約制です。

彫りは時間がかかるので、摺りのみの実演。職人さんを囲みつつ40人近くがじっ…とその手をみつめる。摺りを見ながら、見学会の質問をそばにいる親方が答えてくれます。その時の質問を抜粋します。

目から鱗のあれこれ!「見当」や「やわら」って何?

雲母刷り(きらずり)はどうやって刷る?

写楽によくみられる「雲母刷り」。

雲母(うんも)という岩石の粉末を、染料や膠と何日間か煮詰めて絵具を製造し、刷るのではなく、刷毛で紙にじかに塗るそうです。なので近くで観察すると刷毛跡が見えます。

浮世絵の大きさは決まっている?

現代でA4やB5などと紙に一定の大きさがあるように、浮世絵にも「大判」「中判」など規定の大きさがあります。ですが刷る前の紙は、おおまかに切ってあるそうです。

なぜ多色刷りする時、ずれないのか。

「見当」という目印を版の四隅に彫り、そこに紙をあてがいます。版木の四隅の下には固定のための濡れ雑巾がおいてあり、職人さんは「やわら」と呼んでいました。ちなみに「見当をつける」とはここから生まれた言葉。

見当(紙を当てる目安の凸)は、版木に二カ所。右下と中央下。何故かというと木も紙も若干伸びるから、左右に見当をつけると、どちらに合わせていいかわからなくなり、ずれるのだそうです。

一作品に使う版木の数は?

江戸時代…といっても長いですが、裏表に彫って、5枚の桜の木を使っていたそうです。幕府の贅沢禁止令のためではなく、単に節約とスピード作業のため。

2ページ目 紙を見れば売れ筋がわかる!?小ネタがざくざく

 

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