【べらぼう】山東京伝が手鎖刑&絶版となった洒落本『仕懸文庫』の内容やあらすじを紹介
時は寛政3年(1791年)、山東京伝(古川雄大)が蔦重(横浜流星)の耕書堂から洒落本『仕懸文庫(しかけぶんこ)』を出版しました。
同時発売の『娼妓絹篩(しょうぎきぬぶるい)』『青楼昼之世界錦之裏(せいろうひるのせかい にしきのうら)』ともども教訓読本というテイでしたが、そんな小細工が通用するはずもなく、当局の逆鱗(寛政の改革に伴う出版統制令)に触れてしまいます。
あまりにも生々しい描写が問題視されたのでしょう。結果これらの作品は絶版(発売禁止)処分に。
そして大河ドラマ「べらぼう」の10月12日放送でも描かれていたように、蔦重は身上半減(全財産の半分を没収)、京伝は手鎖(てじょう。手首を固定したまま生活)50日と、それぞれ重い刑に処されました。
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今回はそんな『仕懸文庫』について、その内容やあらすじを紹介したいと思います。
『仕懸文庫』の概要
物語の舞台は鎌倉時代の大磯。曽我物語の人物が遊里で楽しむ内容となっています。
ストーリーの面白さを楽しむというよりも、遊里における遊び方の紹介に重点が置かれ、本作は深川の岡場所をモデルにしていました。
さすが遊び人の京伝と吉原出身の蔦重が提供するだけあって、通な遊び方やリアルな描写について精緻が尽くされています。
一方で当局の風紀粛正に配慮したのか、男女における(遊びではない)恋の真実について強調している点は、本作の特色と言えるでしょう。
そういう意味では、確かに本作も教訓読本と言えなくもない……かも知れませんね。
『仕懸文庫』タイトルの意味
ちなみにタイトルの仕懸とは遊女の衣裳、文庫とはそれを納める箱の雅称です(文庫とは本来、書籍を納める箱を指します)。
つまり「遊女たちの衣裳ケース」、転じて「遊里の裏事情」を連想させるタイトルでした。
天下御免の吉原遊郭に対して、非公認ながら粋な気風で売り出した深川の辰巳芸者たち
その裏事情ともなれば、多くの遊び人たちが知りたがったことでしょう。



