英語だと思ってた…船乗りの「ヨーソロー!」は村上水軍の時代から続く日本語。語源は何?
「ヨーソロー!」という掛け声で、みなさんは何を連想しますか?
「俺たちゃ陽気な海賊♪」
…って、私は西洋のバイキングや海賊など、荒くれ者の船乗りらの掛け声を真っ先に連想していました。
ココだけの話、YO!という呼びかけから始まる、そんな感じの英語をカタカタに訳しただけかと…(汗)。
と思いきや、なんと語源は「宜しく候(よろしくそうろう)」という日本語でした!
しかも今でも使われている立派な航海用語で、「いま向いている方向で問題ない」「(その方針で)よろしい」という意味を持ち、転舵命令の後などに使われます。
使い方としては、「○○灯台ヨーソロー」→ 「○○灯台の方角に真っ直ぐ進め」。
「(方位)270度ヨーソロー」→「方位270度で真っ直ぐ進め」。
転舵(てんだ)の後に「ヨーソロー」と言うことで、現在の針路での直進を指示し、これ以上舵を切る必要がないことを伝えるのだそうです。
いつから使われていた?
この号令は14世紀ごろから活躍した、瀬戸内水軍(村上水軍)の航海術から受け継いでおり、幕末の幕府の海軍にも取り入れられました。
進行方向の方位を「子丑寅卯…」の順で右回りに12等分し、区分を割り当てて呼称します。
右に舵をとる場合は「面舵(おもかじ)」といいますが、これは「卯舵(うかじ)」が「うむかじ」から「おもかじ」に訛ったからだといいます。子丑寅卯なので、時計にあてはめると子が12時なら、卯は3時なので90℃右ですね。
左も同様に申酉戌亥の酉の方向に見立てて、号令は「取舵」といいます。なお、後ろに下がる時の特別な号令はなく、そのまま「後進」といいます(”後退”は敗北を意味することにつながるため)。
元々は、船首に立ち水路を見極める船頭が、後部に居る舵手に対して、直進か左右への転舵かを指示する際にそれぞれ「宜候」「取舵」「面舵」と呼びました。

