【べらぼう】智恵内子(水樹奈々)だけじゃない、江戸・天明期に活躍した女性狂歌師たち:2ページ目
〜女(め)系の女流狂歌師たち
帯久計女(おびの くけめ)
【狂号】帯の結び目。結んだらほどく。その後どうするかはお察し下さい。
夕ぐれに くるわの客の 長羽織
つけよ柳の 糸のをだまき※帯久計女(巻第一)
【歌意】夜になったらまた来るよ、と口ばかりの客が着ている長羽織の裾に、柳の苧環(おだまき)をつけておやり。
【補足】また来てくれるように、おまじない。
凧糸女(たこの いとめ)
【狂号】凧糸の結び目。気を緩めたら、凧≒亭主がどこへ飛んでいくやら。
初がつを 直(値)もたかだかと よばふ也
脇眼もふらず 足をばかりに※凧糸女(巻第三)
【歌意】初鰹の季節になって、売り手が値段を連呼している。急いで売らないと、足が早い(傷んでしまう)ものだから。
【補足】女房を質に入れても初鰹(川柳)なんて言うけれど、バカお言いでないよ。足の早い女房に逃げられないよう、せいぜい脇目を振らないこったね。
片糸縫女(かたいとの ぬいめ)
【狂号】より合わせていない細糸の縫い目。真面目で細やかな性格だったのでしょうか。
そろばんの たまにもよふす 波まくら
夢おどろかす はんとりの声※片糸縫女(巻第十三)
【歌意】たまに寝落ちして、算盤の玉を波のように鳴らす。やがて判取りが来て、夢から覚まされた。
【補足】いつもはちゃんとしているんです。これはその、最近忙しくて疲れが溜まってて、それでその……。
