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女性排除…それでも消えなかった歌舞伎――戦国の巫女・出雲阿国が起こした「かぶき」の衝撃【後編】

女性排除…それでも消えなかった歌舞伎――戦国の巫女・出雲阿国が起こした「かぶき」の衝撃【後編】:2ページ目

今日の歌舞伎を特徴づける「男性が女性を演じる様式」は、このような規制と試行錯誤の積み重ねの中から生まれました。出雲阿国の舞が直接続いたわけではありません。

けれども、彼女が見せた自由で型破りな表現への挑戦は確かに生き残り、形を変えながら後の時代に脈打ち続けたのです。

一人の挑戦が時代を変える

阿国自身の晩年は定かではありません。出雲に戻ったとも、京都で没したとも言われています。ただ、彼女がまいた種が江戸文化を代表する芸能に育ったことは疑いようがありません。

歌舞伎は今や日本を代表する伝統芸能ですが、その原点は一人の女性が見せた「常識を超える舞」でした。阿国の物語は、ひとりの挑戦が大きな文化を動かすことを教えてくれます。

もし歌舞伎を観る機会があれば、その背景に出雲阿国の存在を思い出してください。四百年前に舞台に立った彼女の光は、今もなお日本文化の奥深くに輝き続けています。

参考文献

  • 有吉佐和子『出雲の阿国』(1969 中央公論社)
  • 小笠原恭子『出雲のおくに―その時代と芸能』(1984 中公新書)
  • 服部幸雄『歌舞伎成立の研究』(1968 風間書房)
  • 吉川清『出雲の阿国』(1953 田中書房)
  • 河竹登志夫『歌舞伎』(2001 東京大学出版会)
 

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