【べらぼう】新之助の生涯、服部半蔵(有吉弘行)は何者?歌麿ならではの絵…8月31日放送回の各シーン解説
世の中が切羽詰まっている時に、エンターテイメントで人を救うことはできるのでしょうか。
天明の打ちこわしを収束しようと、蔦重(横浜流星)が田沼意次(渡辺謙)に進言した「お救い銀」。
銀三匁二分で米一升と交換するという破格の救済措置ですが、打ちこわしの渦中にある庶民たちを注目させるために、浄瑠璃行列をもって人々を惹きつけたのでした。
これまで社会を混乱に陥れ、田沼政権を崩壊に導くために暗躍してきた丈右衛門だった男(矢野聖人)は蔦重の暗殺を謀りますが、これを新之助(井之脇海)が庇います。
永年の仲間であった新之助の死に悲歎する蔦重の元へ、喜多川歌麿(染谷将太)が「ならではの絵」を見せに来ました。
いっぽう大奥では大崎(映美くらら)が高岳(冨永愛)を脅し、ついに松平定信(井上祐貴)の老中就任を認めさせるのですが……果たしてどうなることでしょうか。
それではNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第33回放送「打壊宴太女功徳(うちこわし えんためのくどく)」気になるトピックを振り返ってまいります。
小田新之助の生涯を振り返る
貧乏な侍の三男に生まれ、亡き平賀源内(安田顕)の門を叩くも、頭角を現すことなく世に埋もれた新之助の生涯を振り返ってみましょう。
物語では序盤から登場しており、吉原遊郭でうつせみ(小野花梨。ふく)といい仲になったり、蔦重の事業を手伝ったりと存在感を発揮していました。
うつせみの過酷な状況に心を痛めるあまり、駆け落ちするもあっさり捕まってしまい、衝動的に切腹を図る場面も印象に残っています。
しばし時節を待ち、吉原の俄祭りでうつせみと再会。喧騒の中で神隠しに遭ってしまった場面は、本作でも屈指の名場面と言えるでしょう。
無事に逃げおおせた二人は、農村へ転がり込んで平和な暮らしを営みますが、それも束の間。浅間山の大噴火に遭遇して餓死寸前まで追い込まれ、ほうほうの体で蔦重の元へ逃げ込んできたのでした。
深川の貧乏長屋で暮らす内にとよ坊も生まれ、生活再建に苦闘する新之助。しかし蔦重の支援が仇となり、困窮した押し込み強盗に妻子を奪われてしまいます。
こんな世の中はおかしいと声を上げ、世を正すため、新之助は打ちこわしに立ち上がりました。
どこまでも真面目に誠実に、地に足をつけて生きようとしながら、世の理不尽から逃れられない……そんな当時の庶民を代表するような人物として、成功者である蔦重や、権力者たちとは違った目線で物語に深みを出してくれました。

