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「べらぼう」終わらない悲劇、次に犠牲になるのは?殺された母子と壮絶な将軍の最期…二つの無念の死【後編】

「べらぼう」終わらない悲劇、次に犠牲になるのは?殺された母子と壮絶な将軍の最期…二つの無念の死【後編】:2ページ目

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2025/08/22

恐ろしいほど着実に成功していく一橋の陰謀

江戸城内でも、着実に一橋治済(生田斗真)が仕組んだ陰謀が、着々と育っていました。今までも、ドラマで何度か暗喩的に治済が人形を操る不気味なシーンがありましたが、今回は、そのシーンの答えとなるセリフを、徳川家治(眞島秀和)が言いました。

あやつは…天になりたいのよ。あやつは人の命運を操り将軍の座を決する天になりたいのだ…将軍の控えに生まれついた、あの者なりの復讐であるのかもしれぬな」と。

ドラマの中での出来事ですが、一橋の陰謀は恐ろしいほど着実に成功しています。徳川家治と側室・千保の方(高梨臨)の長男・徳川家基(奥智哉)が毒を仕込んだ革手袋を舐めて死んだこと、その真実を探って答えに行き着いた平賀源内(安田顕)を麻薬漬けにして牢に入れ死に追いやったこと、田沼意次が仕込んだことという噂を流すも「それ以外に犯人がいる」と見破った松平武元(石坂浩二)の謎の急死……。

さらに、田沼意次にダメージを与えるため、生真面目な佐野政言(矢本悠馬)を罠に嵌めて田沼意知(宮沢氷魚)への憎しみや恨みを募らせて斬らせ、世間に「生活が苦しいのはすべて田沼のせい」という陰謀論を流し。

そしてとうとう、一橋は歴史の針を自分で進めるために、将軍家治(眞島秀和)をこの世から消し去ろうとします。

味方まで利用した陰謀の中で死に追いやられる

史実では、10代将軍徳川家治は1786年8月に享年50歳、江戸城で死去しましたが、死因に関してはさまざまな説があるそうです。

ドラマでは50歳を目前に体調が思わしくなくなってきた家治を案じた、側室の知保の方(高梨臨)が「醍醐」という高級な乳製品を献上。「滋養があります」と勧めます。

それを用意したのは、大奥御年寄の大崎(映美くらら)。もともとは、一橋家に仕えていました。治済と近い人物で「薬」に詳しく、徳川家基、松平武元の死にも関わってきた、陰謀の最前線で暗躍してきた人物です。いつも、大崎にころっと騙されるお千保の方。

家治は醍醐を口にした後、具合が悪化します。そして悪化したのは田沼が医者を変えたせいということになり、意次は家治と面会もできなくなってしまいます。

以前、家治は意次に向って「十代家治は凡庸なる将軍であった。しかし、一つだけすばらしいことをした。それは田沼主殿頭を守ったことだ……」と吐露するシーンがありました。

非常に印象に残る、感動的な言葉でしたね。ドラマの中での人物像ではありますが、「こんな上司だったら」という声も数多くみかけました。

3ページ目 「天となってお前を見ていることをゆめゆめ忘れるな」

 

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