『べらぼう』幻覚に苦しむ歌麿、妻となる”きよ”と出逢い、師匠・石燕との再会でいよいよ覚醒か:3ページ目
去っていった歌麿
「妖(あやかし)が塗り込められておる。そやつらは、ここから出してくれ、出してくれとうめいておる。閉じ込められ、怒り、悲しんでおる」
歌麿の描き損じを見て、そのような感想を述べた石燕。三つ目の者にしか見えぬモノをこそ描くべきと歌麿に伝えました。
三つ目を持つ者は自分が見えたモノを写すだけでいい。写してやらなければ消えてしまうモノを、写してやらなければならない。
見えるモノを写してやらなければ、誰にも見えぬまま消えてしまう。それを写してやるのが絵師に生まれついた務め……何だか禅問答のようですが、今の歌麿には刺さったのでしょう。石燕の言葉に歌麿は弟子入りを決意するのでした。
「弟子にしてくだせぇ。俺……俺の絵を描きてぇんです」
かつて唐丸(歌麿)が幼いころ、石燕から「一緒に来るか」と誘われたのが、十数年の歳月を越えて実現したのでした。
今週のおていさん
去っていく歌麿の背中を眺めながら、蔦重は「あいつが一皮むけてくれりゃあ、こっちは骨を折らずとも『濡れ手に粟』ってもんよ」と強がりますが、やはり寂しかったことでしょう。
おていさんは「濡れ手『で』粟」とツッコミを入れます。「あぁ、そうですね」と答えつつ、そういうの今いいです、と言わんばかりな蔦重の表情が絶妙です。
「いろいろ、間違えてましたさ。俺ゃあいつのこと、誰よりも分かってる。花咲かせんのは俺だって思ってましたが、素人だったってことですね……」
つよ(高岡早紀)の励ましにババアと返す蔦重。もちろんつよも言い返し、ワイワイと店内に戻っていく二人を見送りながら、眼鏡を直すおていさん。
少しずつ馴染みつつありますが、まだまだ伸びしろを感じさせる展開でした。
