映画『おーい、応為』離婚、出戻り、仙人に憧れ…北斎の娘・葛飾応為(長澤まさみ)の破天荒な生涯:3ページ目
弟子との対話
応為は自分で絵を描くだけでなく、絵を教えることでも生計を支えていました。
ある日、応為の弟子である露木為一(つゆき いいつ)がこんな悩みを相談します。
「私は師匠に入門して永く絵を描いておりますが、一向に上達しません」
すると応為は笑って答えました。
「ウチの親爺なんて、ガキの頃から80幾つになるまで毎日々々絵ばっかり描いているけど、この前なんか腕組みして『俺は猫一匹まともに描けねぇ』と涙流して嘆いてるんだぞ。いいかい。何ごとも行き詰まって自分の至らなさが嫌になる時こそ、上達するもんさ」とか何とか。
これを聞いていた北斎も「まったくその通り、まったくその通り」としみじみ言ったそうです。
80幾つでその状態なら、いったい何歳になったら絵師として絵を極めることができるのか……応為の話を聞いて、為一はより一層精進したことでしょう。
終わりに
今回は葛飾北斎の娘・葛飾応為について、その生涯や人物について紹介してきました。全体的に、なかなか紙一重な天才だったのかも知れませんね。
果たして、映画『おーい、応為』はどんな物語となるのでしょうか。10月17日の公開が楽しみです!
映画『おーい、応為』キャスト
- 葛飾応為(長澤まさみ)
- 葛飾北斎(永瀬正敏)
- 渓斎英泉(髙橋海人)
- 初五郎(大谷亮平)
- 元吉(篠井英介)
- 津軽の侍(奥野瑛太)
- こと(寺島しのぶ)
- 監督・脚本:大森立嗣
※参考文献:
- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第2巻大修館書店、1982年8月
- 鈴木重三 校注『葛飾北斎伝』岩波文庫、1999年8月
