京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓・芸妓と現存する五つの花街【後編】
日本文化の発信地として知られる京都。1,200年という長い歴史の中で生まれ育まれ、日本を象徴する文化へと発展したものも数多く存在する。
「京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界」と題した本稿では、京文化を代表する「花街」での「お茶屋遊び」「お座敷遊び」について紹介する。
※【前編】の記事はこちら↓
京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓さんにスポットをあて世界を深堀り【前編】
日本文化の発信地として知られる京都。1,200年という長い歴史の中で生まれ育まれ、日本を象徴する文化へと発展したものも数多く存在する。茶の湯、生け花、日本舞踊など、京都で生まれた文化は数えきれない…
【後編】では、舞妓と芸妓が働く、京都の五つの花街について紹介。ベールに包まれた魅惑的な伝統文化「お茶屋遊び」の世界を覗いてみよう。
舞妓から芸妓へ。そして一生続く芸事の修行
舞妓とは文字通り、舞を舞う妓。また、芸妓とは芸を披露する妓だ。そのルーツは、平安時代の白拍子の流れをくむともいわれている。
だから舞妓・芸妓の第一の芸は舞踊にある。毎年春に開催する「都をどり」(祇園甲部)、「京おどり」(宮川町)、「北野をどり」(上七軒)、「鴨川をどり」(先斗町)などの五花街の総踊りは公演という形をとりながら、日頃の厳しい稽古の成果を発表する場でもあるのだ。
舞妓を卒業した芸妓は、舞を踊る「立て方」、三味線・鼓・笛を演奏する「地方(じかた)」に分かれる。このうち「地方」として一人前になるには10年以上の修行が必要といわれる。
なかには、芸妓としてキャリアを積みお茶屋の女将になる女性もいる。しかし、女将として一流の客を相手にするには芸事の稽古と社会全般の勉強を、大げさな言い方になるかもしれないが一生続けなければならない。
花街で遊ぶということは、そのような女性たちと文化を交流させることだ。舞妓・芸妓は接客のプロなので、お座敷では客を和ませる雰囲気をつくり出し、楽しく遊ばせてくれる。
だから遊ぶ客の方も、逆に舞妓・芸妓を楽しませるくらいの話題や知識を用意しておきたいものだ。それがお茶屋遊びにおいて「粋(すい)」な客と認められる条件であるのだ。



