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京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓・芸妓と現存する五つの花街【後編】

京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓・芸妓と現存する五つの花街【後編】:2ページ目

伝統に培われた京都の五花街

現在、京都には「祇園甲部」「宮川町」「先斗町」「上七軒」「祇園東」の5つの花街があり、総称して五花街(ごかがい)と呼ばれている。

「祇園甲部」は、江戸前期の寛永年間(1624~1644年)から、祇園社と呼ばれた現・八坂神社の門前で茶屋街として栄えてきた。その後、明治になり祇園町が2分割され、新しく「祇園甲部」としてスタートをきった。

同花街には、重要伝統的建造物群保存地区の祇園白川地区が含まれ、お茶屋などの伝統建築と石畳みの道が調和する。舞踊は京舞井上流で、春の舞踊公演「都をどり」は、明治の初めに三世井上八千代によって創始された。紋章は、八個のつなぎ団子に「甲」の字である。

「宮川町」は、鴨川の左岸・宮川町通に伝統の花街らしいお茶屋が軒を連ね、はんなりとした風情が漂う。宮川の地名の由来は、四条以南の鴨川が祇園社の神輿洗い神事が行われるために、そう呼ばれていたことに因むという。

舞踊は若柳流(わかやぎりゅう)で、春には舞踊公演「京おどり」が開催される。紋章の三つ輪は、明治時代に寺社と町家と花街の三者の結合をイメージして定められたとされる。

「先斗町」は、京都市中京区の四条通から三条通一筋南まで通じる南北約500mの鴨川右岸に沿った細い通りだ。ここには、お茶屋・置屋・飲食店が軒を連ね、木屋町通との間の路地にも飲食店が数多く存在する。

舞踊は尾上流(おのえりゅう)で、春には「鴨川をどり」が開催される。紋章は鴨川に接する花街らしく、舞い飛ぶ千鳥だ。

「上七軒」は、菅原道真を祭神とする北野天満宮の裏参道・上七軒通と今出川通の間に広がる花街で、落ち着いた雰囲気が漂う。五花街のなかで最も古い歴史をもち、室町時代中期に北野天満宮再建に使った余材で7軒の茶屋が建てられたのが起源とされ、1587(天正15)年、天満宮で北野大茶会を催した豊臣秀吉が公許して以降、茶屋街となったとされている。

同花街の周辺は、京都を代表する伝統工芸・西陣織の織元が多く、その旦那衆を贔屓にして格式と風情を保ってきた。舞踊は花柳流(はなやぎりゅう)で、春には舞踊公演「北野をどり」が開催される。紋章は秀吉との関係から、まるく交差する五つ団子だ。

3ページ目 繁華街「祇園」に位置する花街「祇園東」

 

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