『べらぼう』闇堕ちの誰袖…蔦重と意次が決意の”仇討ち”。怒涛の展開に視聴者胸アツ!:2ページ目
佐野政言の切腹
劇中では白装束の胸をはだけ、三方に載せられた木刀を手に取ろうとした瞬間に首を斬られた政言。しかし別の史料では、少し違っていたようです。
『佐野田沼始末』などによると政言は木刀ではなく真剣(脇指)を要求し、関係者を困惑させました。再び乱心して刃傷沙汰を繰り返そうものなら、どんなお咎めがあるか分かったものではありません。
しかしあまりにもしつこかったのか、当局は真剣を用意してあげました。ただし定法よりも遠い位置に置いて、政言が身体を伸ばした瞬間に斬首します。
果たして政言は、佐野の桜を咲かせられたのでしょうか。
佐野世直大明神のご利益?米が安くなった理由は?
前回、大坂の悪徳商人から摘発した年貢米のうち、6万石を幕府が買い入れる話がありました。
その内の約2万石が江戸に届いたことから、米の値段がいっとき安くなったのです。
いわば田沼政権のお陰と言えるものの、民衆たちはこれを「佐野世直大明神」様のお陰と信じたことでしょう。
これでは斬られた意知も浮かばれませんが、それだけ世の人々は飢えに苦しみ、何もかも田沼のせいと思わねばやってられなかったのかも知れません。
ふく(小野花梨)の「蔦重は何だかんだで明日飢えて死ぬって目に遭っちゃいないだろ。私は拝んで米の値が下がるなら、いくらだって佐野って人を拝むよ」というセリフに、多くの視聴者が胸を痛めたことでしょう。
「そうか……そういう心持なんですね、世の大方は」
しかし佐野大明神さまのご利益も長くは続かず、米の値は再び上昇。この先、打つ手があるのか気になるところです。

