『べらぼう』明暗分かれた“桜”…田沼意知と誰袖の幸せな桜と、追い詰められ悲劇を招いた佐野の枯れ桜【後編】:3ページ目
政言の側に、陽キャの蔦重やいつも見守る歌麿のような人がいたなら
意知に対する刃傷沙汰は旧暦の3月24日。当時の江戸の桜の見頃は2月〜3月だったそうです。
思っても仕方ないことですが。もし、狂歌の会の時、佐野がなかなか挨拶できないでいることに気が付き「もっと前に出たほうが」とアドバイスした蔦重のような陽キャな友人がいたら。
ときに暴力的になる父親の介護を一緒に背負う、ほかの姉妹(10人姉弟の末子で一人息子だったろいう)が一緒にいてくれたなら。
蔦重にとっての歌麿(染谷将太)やてい(橋本 愛)のように、いつも状況を見守っていて、適切なアドバイスをくれる家族がそばにいたら。
父親が、蔦重の養父の駿河屋市右衛門(高橋克実)のように、乱暴ながらも愛が伝わってくるような人だったなら。
蔦重はじめ身寄りのない子どもたちを育て見守る慈愛の人、駿河屋の女将ふじ(飯島直子)のように、頼もしく守ってくれる人がいたなら。
心まどわされず刃傷沙汰を起こすまで追い詰められることはなかったのでは。
意知と誰袖の二人の未来が壊れることもなかったのでは。と、幾重にも残念に思いました。