
『べらぼう』差別に挑む蔦重の覚悟!「本」への想いが魂でつながった蔦重とていの心情を考察【後編】
「どうです、女将さん、この際一緒に本屋をやりませんか?」……自分が買いたいと願う日本橋の本屋の一人娘てい(橋本愛)に対して、いきなり大胆な提案を切り出す蔦重(横浜流星)。
「べらぼう」の24回「げにつれなきは日本橋」での話です。いくら店舗を売って欲しいと願っていても「吉原者には売らない」と頑なな姿勢を貫く相手に、なぜプロポーズ?と思った人は多いでしょう。
※前編の記事はこちら↓
『べらぼう』差別に挑む蔦重の覚悟!「本」で結ばれたソウルメイト・ていとの出会いを考察【前編】
「この町に育ててもらった拾い子の、一等でけぇ恩返しになりゃしませんか」……大河ドラマ「べらぼう」の23話『我こそは江戸一の利者なり』で、吉原の亡八(妓楼主)達に「日本橋に店を出させて欲しい」と…
蔦重らしい、この「大切なプロセスを吹っ飛ばした」感の強いこの言葉。皆さん、覚えていますか?
以前、鳥山検校(市原隼人)からの見受け話が来た瀬川花魁(小芝風花)に、彼女の想いにも気が付かずに、「この本さえあればどこに行っても通用する」と、女性の日常生活に必要な知識や作法などを書いた『女重宝記(おんなちょうほうき)』という本を贈った時のことを思い出しました。
「女心」に対する鈍感さや「恋愛下手」は相変わらず。
けれども、今回のていに対するプロポーズは、「ただ女心に鈍感」なだけではありません。ましてや「丸屋をどうしても手に入れたくて焦った」だけでもありません。
まったく、生まれも育ちも異なる何の接点もないようにみえた、ていですが、実は「魂の深い部分」でまったく「本」に対する同じ考えを持っている「ソウルメイト」だということに、蔦重が気が付いたからなのです。
【後編】では、この蔦重とていの心情などについて考察してみました。