『べらぼう』差別に挑む蔦重の覚悟!「本」で結ばれたソウルメイト・ていとの出会いを考察【前編】:2ページ目
「父の日」に描かれたさまざまな父と息子
ところで、第23話が放送された6月15日(日)は、奇しくも「父の日」。さまざまな「父と子」が描かれていました。
二代目大文字屋市兵衛(伊藤淳史)がカッとなって蔦重の「胸ぐらを掴む」場面。一代目にそっくりで思わず蔦重が「親父様!」と懐かしむような顔をしました。(史実では実の親子ではありませんが)
そして、田沼派に加えて欲しいと願い出るも顧みられず、一縷の望みを託し田沼派の土山宗次郎(栁俊太郎)の屋敷で催された狂歌の会に出向くも、「拙者はかような場は慣れぬ」と帰ってしまった佐野政言(矢本悠馬)。
老いた父・政豊(吉見一豊)に「ところで、佐野の桜はいつ咲くのだ」と言われます。「お前はいつ出世するのか」と問われたのでしょう。その後、政言が引き起こす出来事を思うと非常に切ないものを感じました。
そして、今や飛ぶ鳥落とす勢いの蔦重が養父・駿河屋市右衛門に「おまえ近頃、いい気になってやしねえか」と釘を刺されがふてくされ気味に「わかりましたっ!」と言い、「なんだぁ、その言い方っ!」とキレられてしまう場面は、まさに本当の父と子のようでした。
「母の日」に、歌麿とその鬼のような母親の過去エピソードをぶつけてきた「べらぼう」。今回はさまざまな父と息子のエピソードが盛り込まれ感慨深かったですね。
