大河『べらぼう』身請け後、横領事件に巻き込まれ…実在した花魁「誰袖(福原遥)」が辿った光と影【後編】:4ページ目
夫の横領事件に巻き込まれてしまう
土山は、意次が蝦夷開発を積極的に推進するなかで、その探査役として、大きく関わっていく人物。文人・狂歌師である大田 南畝(おおた なんぽ/桐谷健太)のパトロンとなり、吉原で豪遊するという一面もある人物です。誰袖を1200両もの大金で身請けしたことで、江戸中の話題になります。
しかし、遊興費も身請け金も横領した金であったことが発覚し逃亡後に見つかり翌天明7年(1787年)に斬首となります。残念ながら、この一件で、誰袖の消息はどうなったのかは不明のようです。
ドラマでは、この誰袖の将来はどう描かれるのか。この後、後の蔦重の妻となるてい(橋本愛)も登場します。
誰袖が蔦重に身請けされるという子供の頃からの“夢”は叶わないようですが、森下脚本では、どのように描かれるのか。
明るく破天荒で華やかで、ちょっと人たらしなところもある誰袖ですが、それだけではありません。文学の素養もある知性派でもありました。
天明3年(1783)に刊行の、当時人気を博した狂歌を集めた『万載狂歌集』に、誰袖の歌が残っています。
「恋の部」の登場した狂歌ですが、
忘れんと かねて祈りし 紙入れの などさらさらに 人の恋しき
(かつての想い人を忘れようと祈るようにしてみないようにしていた紙入れ。だけど、みてしまうと恋しさが募ってしまう)
そんな意味でしょうか。誰袖の恋しい人は果たして蔦重なのか。身請けされる前の年のようなので、蔦重が餞別に紙入れを贈ったのか、なぜ紙入れなのか、いろいろな疑問がわきます。
この部分が、どのように描かれるのかも今後の展開が楽しみですね。



