大河「べらぼう」蔦屋重三郎、次の舞台へ!新しい幕開けを飾る桜並木と当代一の花魁・誰袖(福原遥)【前編】:4ページ目
桜のように花開いた「かをり」こと「誰袖」
そんな時期。まるで桜の開花に合わせたかのように、蕾から花開き成長した姿で登場したのが、「大文字屋」のかをり(稲垣来泉)こと、成長した誰袖(たがそで/福原遥)です。
かをりは、第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」で初登場した大文字屋の秘蔵っ子で物おじしない明るい少女。蔦重のことが大好きで、往来で昼間から抱きついていた姿が印象的でした。「スキスキ!」モード全開のかおりをあしらう蔦重も面白かったです。
当時、かをりはまだ遊女の卵、振袖新造の立場。おそらく、まだ客を取らない、つまり「売り物」にはなっていない立場だったからこそ、くったくなく吉原の男である蔦重に抱きつけたのかも。
一方どんなに蔦重を想っていても、すでに廓の看板花魁となっていた花の井は、自分が「売り物」であることが分かっていたので、“売る側の立場”いる蔦重に抱きつくことなど決してできません。
まだ幼さの残るかをりの天真爛漫さと、自分の想いは奥深く胸に秘めた花の井の対比が、切なく感じたものでした。
けれども、そんなかをりも、吉原を代表する花魁・誰袖となり客を取る立場になっていく。美しく大人に成長した誰袖。「美しい!」「どんどん綺麗になっていく」と、ネットでは大評判です。
けれども、大人になり花魁になったということは「客を取る立場になった」ということ。誰袖の少女時代の無邪気さとこれから待ち受けている運命を思うと、複雑な思いにもなるのでした。
次回の【後編】に続きます。後編の記事はこちら↓
大河『べらぼう』身請け後、横領事件に巻き込まれ…実在した花魁「誰袖(福原遥)」が辿った光と影【後編】
【前編】では、総集編「ありがた山スペシャル」で取り上げられた忘れられない名場面の紹介とともに、平賀源内の亡き後、その思いを引き継ぐ決意をした蔦重(横浜流星)と『耕書堂』の新章が幕を開けたことをご紹介し…


