”何もない” に宿る美しさ……古来から日本文化が大切にしてきた「間(ま)」とは?:2ページ目
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さらに、会話の中にも「間」はあります。
西洋の文化では、沈黙は「気まずい」と受け取られることもありますが、日本では、少しの沈黙が「相手を思いやる時間」として自然に受け入れられることがあります。
すぐに答えず、一拍おいてから返事をする――その“間”に、言葉では伝えきれない感情や敬意が込められているのです。
このように、「間」は日本の建築・音楽・言葉など、あらゆる文化の中に息づいています。
西洋が「形」や「音」で満たすことを重視するのに対し、日本は「あえて残す」「あえて沈黙する」ことで、美しさや深さを表そうとする文化なのです。
現代のように、予定が詰まり、情報があふれる時代だからこそ、「間」が教えてくれる静けさの価値に、改めて目を向けてみるのもよいかもしれません。何もないように見えるところに、豊かさがある。それが、日本の「間」が伝えてくれる〈美のかたち〉なのかもしれません。
参考文献
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