大河『べらぼう』煙草の罠、謎だらけの死、白湯の意味…平賀源内(安田顕)の去りいく背中を惜しみつつ考察【後編】:5ページ目
源内の本を出し語り継ぐことで後世に伝えていく決意
後日、源内の墓地で須原屋と蔦重が語り合います。須原屋は、今後も源内の本を出し続けることで後世に伝えていくと話し、蔦重も源内にもらった「耕書堂」という名とその意味を伝えていこうと決心しました。
ドラマ「べらぼう」の中では、蔦重にさまざまな言葉を渡した源内ですが、現代に生きている我々にも胸に響くセリフばかりでした。
4話「雛形若菜』の甘い罠」
蔦重が源内に頼みもらった「耕書堂」という名前。
「耕書堂。お前さん(蔦重)は書を持って世を耕し、この日の元を豊かにするんだよ」
5話「蔦に唐丸因果の蔓」
「儲け話を考え人や金を集めていちいち大変じゃないですか」という蔦重に。
「自由に生きるってのは、そういうもんでさ」と言う源内。
世の中には親・生まれ・家・義理人情など「人を縛る」いろいろな理屈があるけれど、そんなものは顧みずに「自らの思いに由ってのみ、“我が心のままに”生きる。わがままに生きることを自由に生きるっつうのよ。わがままを通してんだから、きついのはしかたねぇや」
13話。「お江戸揺るがす座頭金」
「本ってなあ、人を笑わせたり泣かせたりできるじゃねえか。そんな本に出会えたら人は思うさ。『ああ、今日はツイてた』って。本屋ってなぁ随分と人にツキを与えられる商いだと、俺は思うけどね」
親や家の後ろ盾もなく、自分で考え自分で動き、リスク承知で賭けに出る。そんな源内の言葉だからこそ、記憶に残るのでしょう。
源内にもらった「耕書堂」の名と意味を広く世の中に伝えるため、源内が亡くなってすぐ、安永9年(1780)に青本など10作にのぼる新作を刊行する蔦重。源内の「夢」を胸に秘め、新しい幕開けとなっていきます。

