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大河『べらぼう』煙草の罠、謎だらけの死、あの名セリフ…平賀源内(安田顕)の去りいく背中を惜しみつつ考察【前編】

大河『べらぼう』煙草の罠、謎だらけの死、あの名セリフ…平賀源内(安田顕)の去りいく背中を惜しみつつ考察【前編】:2ページ目

自由奔放で粋な「光」から疑心暗鬼の「闇」へ

人を魅了する明るさを持ち合わせていた源内でしたが、ここ数回のドラマの描写では「さらば源内」を予感させる奇行が目立つようになっていました。

試行錯誤を重ねて再現したエレキテルをいかさま扱いされる・物事がうまく進まない・苦労しても報われない・経済的にも疲弊したetcなどの状況に、天才ゆえの繊細な心が耐えられなかったのか。

暗い部屋の中で、田沼意次(渡辺謙)に初謁見した頃の、輝かしい過去に思いを馳せ「何をやってるんだろうねえ、俺ぁ……」と自嘲するシーンは、胸の痛む思いでした。

そんなとき、意次に、将軍の世継ぎ・徳川家基(奥智哉)毒殺事件の犯人探しを命じられた源内は“手袋に毒が仕込まれてた可能性”に思いつき報告。しかし、急に意次より“真相究明の幕引き”を命じられてしまいます。礼金を渡され「すべてを忘れろ」と命じられるも納得いかない様子。

「それがそなたのため」と言われて、「口止めでございますか。俺が今までどれだけあなた様に知恵をお授けしてきたことか」と激怒しました。

「意次は老中になったが、自分はイカサマ師と言われる」と怒りをぶつける源内でしたが、意次にも言い分がありました。「自分は誰よりもお前に賭けてきた……しくじったのはお前自身だ」と反論します。

源内は意次に渡された小判を投げ捨て、「はした金では俺の口に戸は立てられない」と捨て台詞を残し、田沼屋敷を出て行きました。

この瞬間、源内と意次に間に積み重ねて築かれてきた「ブロマンス」※の絆が、崩壊したかのように見えたのですが……

※ブロマンス:男同士の親密で精神的な特別な絆のこと。性的な関わりのない感情で魂が結びついた関係。

3ページ目 天才的なひらめきに優れるも実業家としては

 

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