
愛されフルーツ「ナシ」の歴史は想像以上に古かった!その起源と歴史を解説【中編】
ナシの木はどんな形に育つ?
【前編】では、ナシの由来とセイヨウナシとの関係などについて説明しました。
愛されフルーツ「ナシ」の歴史は想像以上に古かった!その起源と歴史を解説【前編】
大昔からあるナシ多くの人に愛されているフルーツ「ナシ」の歴史を前・中・後編に分けてご紹介します。明治以降、リンゴ・ブドウ・サクランボ・西洋ナシなどの果物は主に海外からやってきました。…
【中編】では、日本で行われている栽培方法とその品種について見ていきましょう。
皆さんは、ナシ園に行ったことがあるでしょうか。ナシ園に植えられているナシの木は、他の果物の木とは違った形をしています。
ナシ園には、成人が軽く手を伸ばすと届くくらいの高さの棚があり、木の幹は胸の高さくらいで、幹から出た太い枝が棚に沿って横に伸ばされています。
これは、剪定などで人が木の形を調整したものです。本当は、自然のナシの木の形は上に高く伸び、大きな木では20メートル以上の高さにもなります。
ちなみに新潟県の新潟市月潟では、江戸時代に植えられた樹齢200年といわれる類産ナシ(チュウゴクナシ系)の木が棚栽培の形で残っており、国指定天然記念物になっています。
鳥取県や山口県では、樹齢100年を超える「二十世紀」ナシの木が残っており、今でもまだたくさんの果実を実らせる長寿梨として有名です。
棚栽培の大きなメリット
さて、ナシの「棚栽培」は日本独特の栽培方法で、江戸時代のはじめに三河(現在の愛知県)の医師が考案したとされています。
江戸時代の棚は木や竹を縄で編んで作られていましたが、現在のナシ棚は金属のパイプや針金で作られるのが主流です。
ナシを棚で栽培する理由はいくつかあります。
まず、台風対策です。果実の収穫時期が台風の多い時期と重なるため、実が風で落ちないように枝を棚に結びつけなければなりません。
また、ナシには立っている枝を棚につけると花がつきやすいという性質があります。それに加えて、棚栽培によって収穫時に脚立などを使う必要がなくなり、剪定がしやすくなるというのも大きな理由です。
さらに、棚栽培なら果実の周りの葉の当たりもよくなりますし、果実が揃って大きくなります。
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