
海賊版の偽造・販売…鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)が没落した”重版事件”とは?【大河べらぼう】
吉原細見の改を通じて、蔦屋重三郎(横浜流星)に出版の可能性を伝えた鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)。
はじめは上手く利用していながら、蔦重が『一目千本』でヒットを飛ばすと、やがてライバル視するようになりました。
そして西村屋与八(西村まさ彦)とグルになって蔦重をはめ、『雛形若菜初模様』では株仲間でないことを理由に蔦重を締め出し、まんまと手柄と利益を奪ったのです。
西村屋与八については以下の記事をご覧ください。
史実でも蔦屋重三郎とはライバル関係!版元・西村屋与八(西村まさ彦)とはどんな人物だったのか【大河べらぼう】
吉原細見『嗚呼御江戸』や画集『一目千本』の刊行を通して、出版人の資質に目覚め始めた蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう。横浜流星)。最初は手探りで事業を起こし、悪戦苦闘する中で様々な出会いや対立…
このままでは本屋になれないため、蔦重は暖簾分けを目指して、孫兵衛のお抱え改として奉公することに。
かくして蔦重が膝を屈した?ような形となりましたが、栄枯盛衰は世の習い。いつまでもこのままではありません。
という訳で、今回は鱗形屋孫兵衛が没落した重版事件を紹介。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の予習にどうぞ。
一回目は何とか示談に
時は安永4年(1775年)、鱗形屋の手代である藤八(とうはち)が、大阪の板元・柏原与左衛門(かしわら よざゑもん)が出版していた『早引節用集(はやびきせつようしゅう)』の重版に手を染めてしまいました。
現代とは意味が異なり、当時の重版とは海賊版の偽造・販売を差します。
もちろん重版はご法度で、類版(似たような内容の出版)ともども、かねて禁令が出されていました。
藤八は『新増節用集(しんぞうせつようしゅう)』とタイトルだけ変えて発売。
これに気づいた与左衛門が怒らないはずはありません。
第5回放送「蔦に唐丸因果の蔓」劇中、尾張熱田の古本屋で怒りに震えていた男が与左衛門です。
この時は書物問屋の須原屋市兵衛(里見浩太朗)が仲裁に入り、何とか示談となりました。
しかし事件はこれで終わらなかったのです。
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