大河『べらぼう』花魁・花の井は実在の人物!吉原屈指の名妓「五代目 瀬川」の数奇な人生【前編】:3ページ目
花魁・花の井が席をおいた「松葉屋」
大見世の中でも、屈指の格式の高さで知られていたのが、花の井が席を置いている「松葉屋」です。
ドラマ「べらぼう」の初回では、松葉屋の一階でお膳に盛られた伊達巻や黒豆、エビなどをおかずに、花の井たちが白米を食べている場面がみられました。
そこに蔦重が、「貸本」をたくさん持って登場します。さまざまな貸本を手に取り流し読みをして「何を借りようか」品定めする遊女や禿たち。「遊女たちの識字率の高さ」がSNSでも話題になっていました。
妓楼では遊女が客とのコミュニケーションを円滑に進められるよう遊女の手習い(習字や、文字を書く事)に力を入れていたので、花魁ともなれば、極めて高い教養を身に付けなければなりません。
「べらぼう」の2回目では、花の井が贔屓筋に宛てた、いわゆる「営業メール」的な手紙を書くシーンがありました。
さらさらと筆でしたためる熱量の高い艶っぽい文章に対して、「お仕事ですから!」といわんばかりの、醒めた花の井の表情が対照的でした。
遊女たちは、さまざまなジャンルの流行り本を読み知識を頭に入れるだけではなく、和歌・漢詩・徘句に精通していました。
その上、名だたる花魁ともなると知識があるだけではなく、生花・茶の湯・琴・三味線・囲碁・将棋などの芸事もおてのものだったそうです。
吉原でも屈指の楼閣「松葉屋」のナンバーワン花魁・花の井は、吉原屈指の名妓といわれた女性。
花の井は、史実においても、その美貌や教養の高さ、芸事の優れた腕前などで人気の花魁となり、松葉屋に代々受け継がれていた看板遊女「瀬川」の名前を継いで「五代目瀬川」になります。
花の井の生い立ちは定かではないのですが、幼い頃に親に捨てられて、松葉屋に引き取られたといわれています。
「べらぼう」のドラマの中では、吉原生まれの蔦屋重三郎とは幼馴染の設定です。
松葉屋のトップスター「五代目瀬川」を名乗るようになった花の井花魁は、後に数奇な運命を辿った女性といわれるようになります。
【後編】に続きます。