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江戸時代の悪名高き「生類憐みの令」は社会福祉策の一環だった!?暗君・徳川綱吉が本当に目指したもの

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福祉制度改革・機構改革も行う

さらに綱吉は、獄中の生活環境改善にも着手しています。

役所へ、浮浪者への食糧支援と宿泊所の設置を命じるなど、現在の福祉政策に通じる方針を多数打ち出したのです。

生類憐みの令に関する法令は綱吉の死後に廃止されましたが、捨て子対策のように人間を対象とした法は違い、後の政権にも継承され、結果として戦国の殺伐とした空気は一掃されていったのです。

また幕府機構の整備にも綱吉は一役買いました。財政を司る勘定奉行の下に、事務作業を監査する勘定吟味役を設置。試験制を採用して家柄に関係なく人材を取り入れ、組織力を強化しようとしたのです。

もちろん、貨幣政策の失敗や野犬収容所の増設に伴う増税、財政規律の乱れといった失策も犯しており、綱吉を手放しに評価することはできません。

しかし、一人の政治家の打ち出す政策が全て100点満点ということは通常あり得ないわけで、その功績を考慮すれば、少なくとも通説のような無能な暗君ではなかったと言えるでしょう。

参考資料:日本史の謎検証委員会・編『図解最新研究でここまでわかった日本史人物通説のウソ』彩図社・2022年

画像:photoAC,Wikipedia

 

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